タイトルに偽り無しの「勇気の物語」です。
やっぱ、宮部みゆきはイイなぁ。こんな若者向きのファンタジーでもなんとも言えない味があるよなぁ。単なる勧善懲悪じゃ全然ないし。
いわゆる、ありえない世界に紛れ込んで、いろんな場面に遭遇して、なんとかゴールに到達して何かを達成する、ってファンタジーものの王道(というほどその手を読んでないんで恐縮です)なんです。
けどね、単行本の1冊目(上)のかなりの部分を費やして、主人公の現世での状況を説明するわけですよ。別にさらっとあっちの世界に行って「うわぁ~」だの「きゃ~」だのを「スリルとサスペンスチック」に書いてもいいのに。
主人公を囲む状況がどうなってるのか、なんで、あっちの世界に行かなきゃいけないのか、何を達成したいのか、を延々と説明する。で、読んでるほうは(ま、大人なんで)、「え~!そんなのが目的なのぉ~?」ってちょっと疑問を感じると。
その疑問を持ったまんま、あっちの世界に入っていくんですけど、まぁ、色々有りますが、そんなにドキドキハラハラでもなく結構淡々と進むわけですね。あんまりオドロオドロしてなくて。で、最後に「え!そんな願いでいいの?ホントにいいの?」と念を押されて、読んでる側は「やっぱそうだよなぁ。そういうことだよなぁ。」と、なんとも言えない爽快感というか満足感を得る。カタルシスですねぇ。
最初に感じた違和感をず~っと持ったまんま、なんかオカシイよって思わせといて、最後に大逆転。エンターティメントですね。まぁ、落ち着く先はかなり予定調和的ですけど。
ただ、若者向けに書いているからなのかよく判りませんが、全体的にスピード感がなくてトロトロしてる気がします。ジェットコースターでぶっ飛んでいく的な疾走感がちょっとしか無くて、ちょっと走ってオヤスミ、またちょっと走ってオヤスミって風に感じちゃうんですけどね。
出来れば、実写でやってもらいたかったなぁ、アニメじゃなくて。でも、この11歳を演じられる子役が居ないかぁ。
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