読むのがこんなに辛いのに、ここまで具体的に力を与えてくれる本もめずらしい。何故辛いかって言うと昔、中学~高校と「イジメッコ」かつ「イジメラレッコ」だったから。どっちも器用に平行して存在するわけじゃなくて卒業~入学という区切りでそうなっただけ。
つまり、加害者であり、被害者であった。ただ、この本に出てくるほど壮絶なイジメは無かった(と思う、というかそのころいじめてた同級生の気持ちはわからないので弁解でしかないけど)。でも、だからといって罪が軽くなるわけではないし、「いじめの構造」は何も変わっていないのだなと感じる。
思うのは、子供というのはいい意味でも悪い意味でも抑制が利かない生物なのだということ。
だから、ちょっと傾いただけで一気にそっちに走っちゃう。グループのボスが、「あいつ、最近、ウザくない?」と一言言っただけで一気にいじめ(というか暴力=犯罪)が加速する。それに同調しないと自分が危ないというのが、肌でわかるぐらいに敏感な生き物。ま、野生動物だと思うべき。
この本が、スゴイと思わせるのは、著者自身はきっとこれを実際のいじめで悩んでいる(もしくは悩むであろう)親にマニュアルとして使って欲しいという意思が非常に強く表れているところ。何故かっていうと、大事なところは全部「太字」になっているから。その部分だけでもちゃんと覚えて、子供が通う小学校とか中学校とか高校の先生と対峙して欲しい、あなたが行動して欲しいという強い強い意思がみなぎっている。
だから、ちょっと傾いただけで一気にそっちに走っちゃう。グループのボスが、「あいつ、最近、ウザくない?」と一言言っただけで一気にいじめ(というか暴力=犯罪)が加速する。それに同調しないと自分が危ないというのが、肌でわかるぐらいに敏感な生き物。ま、野生動物だと思うべき。
この本が、スゴイと思わせるのは、著者自身はきっとこれを実際のいじめで悩んでいる(もしくは悩むであろう)親にマニュアルとして使って欲しいという意思が非常に強く表れているところ。何故かっていうと、大事なところは全部「太字」になっているから。その部分だけでもちゃんと覚えて、子供が通う小学校とか中学校とか高校の先生と対峙して欲しい、あなたが行動して欲しいという強い強い意思がみなぎっている。
そしてそれは、いわゆる受験勉強で追い立てられていたマニュアル世代(30年代~40年代生まれ)の生理にピッタリ合う。そこまでしてでも、いじめを止めさせたいというその思いの強さに逆に感動する。というか、難しい漢字に振り仮名が振ってある所をみると、なによりも子供に読んで欲しいのだなと思う。こんなにハッキリした意図を持った本はそうは無い。
さらに執念を感じさせるのが、いわゆる加害者をひたすら守ろうとする「人間教育」=なによりも人権重視で「話せばわかる」式のプロトタイプ型の教師に対する攻略法まで丁寧に解説している。
「家族力」の時にも書いた「ゼロトレーランス」に関しても全くそれが万能の回答だとは言えないにしても、次善の策であり、なによりも被害者を救う今のところ唯一、効果のある方法論だと解説しています。
なんか、全然、内容がわからないよ!って声が聞こえてきそうなので、ちょっと太字の部分を引用。
この本の目的は学校からいじめを根絶していじめの加害者に償いをさせることです。(15p)いじめの実態はおそるべき犯罪であり、こうした犯罪に学校は無力だ。(34p)いじめはどうしてなくならないのでしょう。その大きな原因は、実は「人間教育の理想」そのものにあります。いまの社会は「人間教育」を信奉し、いじめ問題も人間教育で解決できると思い込んでいます。そこに根本的な誤解があるのです。(53p)いじめを受けている生徒にとって、いじめっ子の将来的な立ち直りなどどうでもよいのです。いますぐ、いじめをやめてほしい。願いはこれだけです。そのために、いじめっ子たちが退学処分を受けようが、警察に逮捕されようがそれはそれでいいのです。(68p)いったい、いじめとはなんなのでしょうか?(中略)これに対して、本書の定義は簡明です。いじめとは「犯罪」なのです。(78p)ことの本質は、いじめを教育問題と見るか、犯罪問題と見るかのちがいです。(80p)いじめに責任があるのはクラス全体でなく、あくまでも実行犯の加害生徒です。(83p)いじめ=犯罪に対しては、ためらうことなく警察力を導入し、断固たる少年司法(刑事司法)で裁く必要があります。これが本書の立場です。(87p)教育の名の下に、いまの学校はとんでもない「無法地帯」になっています。世の中の犯罪が学校の門をくぐると、とたんに犯罪でなくなってしまうのです。(90p)社会で許されない行為は学校でも許されない」(90p)
立法の流れまでも俯瞰して、すくなくとも希望が持てる方向に向かっている、しかもこんなに成功した事例もあるんだよと教えてくれる。著者の「これでもか!」と言わんばかりの「いじめ=犯罪」を見逃す特殊な環境=学校、とそれをとりまく人間教育の弊害をあからさまにする。単なるアドバイス本じゃなく、マニュアルとしてここまで簡潔に具体的に書いた本は無かったんじゃないか。200pにもならないのに凄い。
この本(というか記事)に「いや、それは違う、いじめを行う側の気持ちとか今後の更生のことを考えたら、即退学なんてやっちゃいけない」という人が居るかもしれない。そういう人には、かつてのいじめっ子のコメントを差し上げよう。
「いじめる側に、深い理由なんて無い。単にいじめると気持ちがイイとかスカッとするぐらいのカタルシスを求めているだけだ。
そんな気持ちのイイことを止めろなんて言う権利、あんたにあるの?」
今の自分なら、こう言うだろう。
「それは、権利とかの話ではない。罪を犯した人間に罰を与えるのは、社会の義務だ。学校は関係ない。」
きっとこの著者は、「君を守りたい」なんて軟弱なタイトルは嫌だったんだろうな。ただ、このタイトルにおびき寄せられて手にとってしまった「人権最優先的母親ワナビー」には、とっても冷たいけど、目が覚めるシャワーのような本だろう。
おススメします。
[いいですね] 義務教育のなかでの「いじめ」の被害者を守ることは最低限果たさなければ行けない責任で、もう、ずっと昔から徹底していなければならなかったことだと思います。加害者を守ることに何の意味があるのか、守る必要があるのか、いったい何から守るのか、単純なボクには理解出来ないことです。いじめられる側にも問題があるなんて発言を聞くと、ボクは逆上してしまいます。
PTA の親のなかには、もちろん常識のある良心的な人も多いですが、中には信じられないくらい自己中心的な親もいて、けっこうこういう親がめちゃくちゃな主張で話し合いで混乱させる傾向があります。なかなか論理的な話し合いができないので、先生方も適当なところで決着をつけようとする。紹介された本の公立学校の事例は、ぜひ、全国の学校の先生に必修の教科書にして勉強してもらいたいものです。ボクも読んでみたいけど、内容がとても辛そうで…
学校もだらしないと思うけど、一番奥深い根は、いじめをするような子を育てた家庭にあるような気がします。
それにしても Yasuyuki さんのお読みになる本の量はすごいですね。
投稿情報: charlie brown | 2006/10/26 09:02
[いいですね]
投稿情報: ゆうか | 2006/10/27 09:02
[いいですね] 読んでみたいと思いました。テレビ見てても、いじめられても自殺しないで逃げてっていう報道ばかりでいじめという犯罪をなくす視点があまり見当たらないのでこういうものをもっと紹介してほしい。
投稿情報: gorou | 2006/11/05 13:31
是非、読んでみてください。著者の強い思いが伝わってきます。とにかくこどもを死なせたくないってキモチが。加害者の更正とかそんなのは後回しでイイ。なによりも死なせたくない、ってキモチが。これってLucyさんとかも感じてる(と勝手に思っているんですけど)動物としての本能ですよね。
投稿情報: yasuyuki | 2006/11/05 18:53