スノードームの作者、アレックス・シアラーの「青空のむこう」という本を読んだ。
交通事故で死んでしまう男の子の死んだ後の物語。昔の友達とか先生とか家族に死後の世界から会いに行く、そこで感じるあくまで主観の、つまりハリーの感じることを書き記した物語。
死んじゃう主人公が書き残すという意味では、コニー・ウィリスの「航路」とも通じる世界だけど、小学生(だと思う)の視線から、すごく新鮮な感性がほとばしってる気がする。こういう、若さって気恥ずかしいぐらいだけど、好きです。
なんどもなんども涙と声(嗚咽ですねぇ。)が出てきちゃうぐらいユーモアと悲しさに満ちているんだけど、決して恐ろしくは無いんですねぇ。きっと最後の希望に満ちたエンディングで全てが許されるということかもしれません。
ただ、なんで「ムズカシイ本。」と書いたかというと、こんなに「死んでもちゃんと次があるんだよ!」って宣言されるとマズイ状況もあろうかと。
結果的にこの本では、「不慮の事故」で命を落とした少年、ってことになってますけど、いじめで悩んでる少年には読ませたくないなぁ。だって、この本ではキチンと生きてた時のいじめっ子といじめられっ子が折り合っちゃってたりするから。
この世からあの世、それから<彼方の青い世界>へと旅立っていくことが、ある意味、物凄く魅力的にに見えるから。だから、今の世界、というか状況から逃げたい人はこれを参考にしちゃうよねぇ。
というぐらい薄いのにイイ小説でした。装丁もキレイだし、オススメします。同じぐらい「薄いのにイイ」って言うと「カモメのジョナサン」ぐらい、かなぁ。でも、こっちが上。
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