え~、ほとんどビジネス書は読まないんだけど、これは図書館で立ち読みして以下の部分にちょっと引っかかった。
なるほど。企業が継続的に成長していくための戦略を立てるための具体的な方法とチェックポイントが書かれているけど、どちらかというとワークブックのテキストに近い。なので引用したように、ただ読んだだけではなくてこれに沿って実行してみないと価値がわからないなぁと思う。ただ、サンプルが豊富なので判りやすい。勿論、判りにくいサンプルもあるけど、成功事例だけではなく半分ぐらいは失敗の事例なので参考になる。他のビジネス書と違って、この本は飛行機の中で表紙から裏表紙まで、ただ読めばいいようには書かれていない。
面白かったのは、(覚えている人いるかな?)銀座のマツモトキヨシの向かいに出店して見事に大失敗したブーツ(Boots)という英国のドラッグストアが、成功事例としてちょっとだけ出てくるところ(141p)。Bootsが在ったのは、SONYビルのちょっと先、今はCoachになっているとこですね。
全体的に新鮮だったのは、どんなに新しい戦略を立てて成功したとしても、企業間の競争というのは生き物のように動いているので、すぐに追いつかれるよ、休まずに常に走っていないといけないよ、この本に書かれている手法を実践したとしても勝てる保障は無いよ、というトーンが一貫していること。そりゃそうだ。つまり、「勝つための絶対的な方程式」をアリガタク教えていただく本んじゃなくて、企業を取り巻く状況を整理して戦略に落としこむ方法論のマニュアル本でしかないんですな。
それと事例からこの方法論を導いているので、結果的に「5つの戦略」と「40の戦術」に膨らんじゃってるところ。
多いよ!覚えられないしwww。最後のほうで紹介されている文章(195p)では、
ってダメじゃん、「5+40」も有ったら。有名な心理学者G・A・ミラーによると、人間がおぼえることの出来る案件は、7件、プラスマイナス2件である。
時間が無い人は、3章に出てくる商品・サービスを見直すためのアトリビュート分析だけでも読むといいかも。これは、判りやすかった。例も適切だし。しかも重要なのは、顧客は静的な存在ではなくてどんどん変化していくのでそれを予測する必要があると言い切っているところ。それをあなたの企業がやらなかったら、競争相手がやるよって。
こういうのをワークショップ形式でやると緊張感があってイイんだろうなぁ。
最後の最後、これを実行するためのコミュニケーションの重要性を訴えて、チャールズ・シュワブのCEOの意見を引用するんだけど、「同じメッセージを700回ぐらい発信すると人はようやく受け入れてくれるようになるらしい」と。
ま、これも「多いよ!(怒)」ですかね。
いわゆる日本人が好きな「企業道を極めたい社長さんのためのお手本」的じゃないんです。格闘技で言うところの「型のキレイさ、速さ、正確さ」を高めるための指南書というよりは、「とにかく相手に勝つための喧嘩の仕方」の実戦マニュアルです。なので、読んだだけではそんなに身になりません。凄いのは、この喧嘩は、30分1本勝負でもないし、3分1ラウンドで12ラウンド勝負でもない。いつまでも終わりの無い戦いなんだぜ!覚悟しろよ!って常に意識させられるところ。
是非、社員と一緒にこのステップをやってみるとイイと思います。日本の社長さんたち。
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