「ハイペリオン」シリーズ、そして「イリアム」とダン・シモンズの本に魅入られてしまった。そこで、ちょっと趣を変えて軽い感じの短編集を見つけたのでそれを読んでみる。
デビュー作になった「黄泉の川が逆流する」から最後の「バンコクに死す」まで、読み応えのある短編が目白押し。
同じ短編シリーズの「ふたりジャネット」がスゴク軽くてイイ感じのエンターテイメントって感じだったのを考えるとこの短編のカバーは軽過ぎると思う。カバーに騙されて、落ち込んでるときには読まないほうがいいような。
ダン・シモンズの長編、特にハイペリオンの中で出てくる瞬間移動のところで繰り返し、「一度、体がぐちゃぐちゃになって死んで向こうで新しい細胞から再生する」というモチ-フが語られるんだけど、この短編集は全ての話で「死と再生」というか「死」がもっとも大きなテーマになっている。これを選んだ人は、わかってやってる気がする。そんなにも「死」がシモンズにとって重要なんだよって教えたいんだろう。
「ケリー・ダールを探して」の時空を飛び越える様は、ダン・シモンズのお得意芸だし、戦争にまつわるエピソードもそう。
こういうベース(素材と技術)があって、あの複雑怪奇な伏線だらけのストーリーが練り上げられるんだとまるで映画のコメンタリーを観るような感覚。でも、一つ一つの物語の質は高いので、読んだ後の感覚が気持ちいい。過去と現在を語り分けて、エンディングまで持っていく力量は、整体のマッサージをガシガシしてもらってるみたいで快感としか言えない。
ダンシモンズ初心者には、おススメ。いきなり長編に挑戦するよりはいいかも。
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投稿情報: Elias Duong | 2010/05/08 06:24