ゲソさんのこんな記事を読んで「そうだよなぁ、わかっちゃう人ってのはいるんだよなぁ」、「でも例のとてもオフトリになってるあのお方みたいにスピリチュアル!なんてかっこつけるのもなんだかなぁ」と思いつつ、「そう言えば、さっき読み終えた恩田陸のはそういう話だったなぁ」というわけで。
恩田陸の「ネクロポリス」について書いてみる。
恩田陸の書く題材というか、今回は舞台といったほうが良いんだけど、西洋風味なのにどこか和風な不気味さ、コワさというのが、ま、料理で言うところの下味になってる。で今回は、どういうわけか英国と日本の影響が半々になっているとある島国が舞台。つまり下味どころかかなりキレイに和風。
そこでは、日本で言うところのお盆、つまり、死者が現世に還ってくるという神妙なはずの状況が、「ヒガン」という呼び名とともにお祭りになっている。そして当然のように起こる数々の不思議な現象、殺人事件を東京からやってきた主人公のジュンイチロウ・イトウがキーパーソンとして解き明かしていく、という流れ。
でも、このキーパーソン、かなりボヤっとしてる。絶対に探偵って柄じゃないし。でねぇ、なんだかねぇ、登場人物の会話が下世話で、なんともシマリが無い。全体の舞台であるその島もそこにいる住民もなんかポワンとしててなんかオメデテーなって。で、当然、人が死んだりするのに緊張感が無いつーか、あるようには書かれているんだけど伝わらない。どうしてなんだろうか?舞台の風景は、それこそイギリスの郊外にある古い農村って感じでいかにもオソロシゲなのに。と、これを書いててふと、
「これっていわゆる北のほうの島じゃなくてもっと南の、それこそセントビンセントとかグレナディーンとかの方なんじゃないだろうか?そういうすっごく南方のほうの話だとしたら?」
とギモンが沸いてきた。でも、であれば、もっと暑苦しくて逆に恐ろしく出来るはずなのに。やはり暑苦しい場所を恐怖の舞台に変えるのは日本人の感覚ではダメなんだろうか?
ということで、最後までなんとなく弛緩した感覚のまま話は進んでダイダエンを迎える。最後にちゃんとコワい結末があるんだけど、それも、ねぇ。なんとなくねぇということで、図書館で借りて読むのがヨロシイカト。
やっぱり、恩田陸はジュブナイル系のほうが、つまり登場人物に大人が出てこないほうが、イイなぁ。
三月は深き紅の淵を、光の帝国、夜のピクニック.....そう言えば、最近読んでませんでした.....個人的には光の帝国が好きです。
投稿情報: nebula | 2007/02/11 21:00
お!コメント、有難うございます。光の帝国、まだ読んでいないので次に借りるリストに入れときます。
投稿情報: yasuyuki | 2007/02/13 02:13