前に読んだ本で紹介されていたチャールズ・バクスターの「安全ネットを突き抜けて」は、なんともしんみりと心に染み渡るような短編集だった。
表題の「安全ネットを突き抜けて」のヒヤリとするような結末、成功した父親と心が通い合わない息子を描く「11階」、そして5歳の少年が体験する家族の死と生活を淡々と描く「トーク・ショー」。
どれもすごいとか感動したとか考えさせられたとかの感想に行き着く前に終わってしまう。そんな余韻に浸らないでねっていう気配りでもあるんじゃないかと思うぐらい。
親と子も、夫と妻も、どれも寂しくて悲しくていたたまれないけど、それでも生活は続くんだよっていうところの強さ、なんというか変に納得もしないし、諦めもしない。そしてみんな、後書きにもあるように「少しだけ変」で「一瞬のかげり」に捕まってしまう。
そういうところをモノクロのスナップ写真のように切り取り、あとは「ご自分で考えて」と突き放すんじゃなくて、そぉ~っと離れていくという感じ。
読むなら冬ですな。若しくは晩秋。どっちにしても蒸し暑い日本の夏に読む本じゃ無いような気がする。
Amazonから本を探すと日本もUSもカバーが出ない。じゃあ、ってんで初めてUKを試してみると・・・・・出ました。それもかなり良いデザイン。これ踏んで買ったりするとUKから届くんだろうか。どんだけ送料かかるのかやってみたい気もするけど。
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