この本をまたまた斎藤学さんの監訳ということで読んでみた。でも、読み進めるうちにこれはセラピーのイロハを書いているのでもなんでもなく、近親相姦というものすごい重いテーマについて書かれているということに気付く。(もちろん、他の内容もあるんですけど)
実際のセラピーの例を示しながら、被害者だけではなく家族、そして家族の中に居る加害者も含めてどういう手順で関係を改善していくのかという「家族療法」の実際なのだ。あ〜、びっくりした。
しかし、臨床心理のカウンセリングと比べると遥かに積極的だし、具体的に「こうしなさい」という指導が行われる。その中でも「兄が妹に性的いたずらをする」といういかにもありそうな状況をどうやって家族のチカラを使って改善してゆくのか?は平易な口語文で書かれているだけにまるで「重いアメリカ映画」を見ているかのよう。
加害者である兄を跪かせて妹に謝罪させる、そしてその行為を防げなかった両親も他の兄弟も「あなたを守れなかった」として跪いて謝罪する。当然、抵抗があり、その抵抗を乗り越えたところに感情の高ぶりがあって、なんか感動的なというと安っぽいけど、胸の奥の方をヤスリでこすられるような風景。
こういうことを指導できるようになるためにはどれだけの経験と洞察が要るんだろうか?これは真剣勝負なんだなと思う。
なんか重過ぎて書けないけど、これもメモと言えばメモなのだ。しょうが無い。
裏表紙のコピーがイイので、それをメモしておこう。
人間の行動の表面的な意味とその裏に隠された本当の意味とは違っていることが往々にして起こり得る、というのはこれまでのワークショップでも何度かでた話だけど、本当にそれはこの事例にあるように起こり得る。セラピーにおける重要な問題は愛と暴力の葛藤から生じる。
愛が侵入や支配、
暴力を引き起こし、
暴力が愛や保護、
救済の美名のもとに行われる。優れた戦略的セラピストである著者が性的虐待と暴力のある
家族に介入し、治療に導く過程を鮮やかに描く。
そこを読み違えると大変なことになる、というのはよくわかった。
しっかし人間の
[欲は|業は|愛は] (お好きなコトバを選んでください)
深いなぁ。ちなみにボクは全部。
[this is good] In it something is and it is excellent idea. I support you.
投稿情報: Zechariah Kowalski | 2010/05/11 01:52