「聖者は口を閉ざす」という小説。スティーブン・キングとかエルモア・レナードとかが絶賛したそうな。
話は、ニュージャージーのイケてないけどそんなに田舎でもない街に住む40代の男性の話。ストーリーはもうどうでも良いけど、麻薬やら拳銃から強盗やら窃盗やらもうアメリカの暗い面がどこ向いても口を開けて待っているような街で起こった傷害事件をその被害者の男性の幼馴染みの婦人警官が解き明かしていく、という一言で言うとそういう話。
これまた何故かとても読み終わるのに時間のかかった本だった。何故かというとその男性、レイが余りに無防備でお人好しで騙されやすくて、もう読んでるだけでイライラするような危なっかしいオトコ、だから。しかも別れた奥さんと一緒に暮らしている娘ともどうやって折り合いを付けていけばいいのかも分からず、グルグルさまよいまくり。
読んでるハシから「あぁ!もう!イライラする!なんでそんなことすんの!」って感じちゃってなかなか進まない。そして最後で待っていた衝撃の真実。もうこんなに救いの無い話も無いんだろうけど、不思議と薄明かりみたいな明るさがある。
東野圭吾じゃないけど、「人間って悲しいな」と思わずにはいられないお話。状況的にはアメリカのほうがはるかにキツいんだろうけど。
そんなイライラの連続でもググッとくるところもあるので、そこをちょっとメモ。
理解出来ないし、近づけない14歳の娘との関係を、同世代の廃人のような街の情報屋からお説教を食らうところ。
「・・・もし本心から娘さんの友人になりたいと思うのならどうすればいいかって?だったら友だちになどなるな。父親になれ。」
そして、いわばお節介でレイの事件の真相を探る婦人警官、ネリーズが、どうしてヤク中の兄貴とか凶悪な犯罪が当たり前の周りの環境に負けずに警官になったか?というところを話すところは、感動もの。そしてレイがどうしてこういう事件に巻き込まれたのか?をゆっくりゆっくり解きほぐすかのように語る。もしもこれが映画になるなら、このシーンだけで、というかこのシーンがどれだけ演じられるか、どれだけ表現出来るかだけで、この映画の評価が決まりそうなヨカン。それぐらい重要な場面。
こういうスゴイ細かい(でも大事な)部分がちゃんと描けてるところが、いいと思った。これ、是非、映画で観てみたいなぁ。
[いいですね] >だったら友だちになどなるな。父親になれ。
ここ共感していい部分ですか?ですよね!出来損ないながらも、友ではなく親でいたいと私も思います。
投稿情報: herorin | 2008/04/23 23:59
この本ねぇ、とてもイイ台詞とかが満載なんですけど、痛々しいんでつよ、この主人公のレイってのが、マジで。
上にも書いたんですけど、ネリーズが切々と語るところがものすごく良いので自分のメモのために引用しようかと思ったんですけど、余りに長過ぎて。orz 断念しますた。
投稿情報: yasuyuki | 2008/04/24 10:45
これ、yasuyukiさんの記事を拝見し、私も読んでみたくなりました!
なにをどうしたからって、ガラッと変われる自分ではありませんけど、自分自身イタイおやぢなんじゃないかってことで、興味津々です!
ちなみに、「友達みたいな父娘ですね。」と他人様から言われた日には、私は潔く家から出て行きます。(笑)
投稿情報: herorin | 2008/04/24 16:10