「書きたがる脳」という女性の神経科医、アリス・W・フラハティの書いた本を読んだ。随分前にモノスゴイ時間をかけて読み終えたんだけど、なかなか感想が書けない。
自分が経験した鬱病と精神病院への入院、そして出産、出産直後の子供の死、そしてまた出産、というなんとも濃過ぎる経験のなかで、文章を書かないではいられない自分の状態を見直して、「人間にとって『書く』とは何か?創造とは何か?」などを、脳科学的な側面と哲学的な側面から、執拗に追い求めた本、と言えばいいのか。
文体が結構楽しくて、カタいハナシばかりじゃない。でも、根底にあるのは、「どうして自分は書くのか?」というギモン。
結局、それは解決出来てないのかもしれないけど、色んな角度から自分を見直すことで少しは、この作者さんもスッキリしたんじゃなかろうかと思えるぐらいのしつこさと偏執狂的な細かさ。後書きで茂木さんが「現代人のためのロマンティック・サイエンス」とタイトルを付けてるけど、サイエンスでありながら、再現性に乏しく、しかも人それぞれに寄って脳の部位の使い方が少しづつ違うらしいというあたりで、科学としては限界なのかもしれない。
脳ってのはそれぐらいに面白い器官なわけで。
ウディ・アレンの「脳は2番目にスキな器官」っていうのがどういう文脈から出てきたのかは判んないけど、扱いにくくてもカワイイという意味では脳は、確かにスキになるべきな器官かもしんない。
それにしてもひとつの本を書くのにどんだけ引用してんだよ!ってことで、書く前にモノスゴイ読書をしてものスゴく消化しないと書けないんだろうなぁと思た。
中に「経頭蓋的磁気刺激法(TMS)」というアタマの外から磁気で脳に刺激を与えて、気分やらをかえる装置の話が出てくるんだけど、これがもっと安価かつ小型化されて実現されたら、もう覚醒剤とか麻薬とか要らなくなるのかも!って。
サラッとこの作者は書いてるけど、これって画期的じゃない? 例の電気流してお腹の筋肉をビクビクさせてダイエットするヤツと似てる気がする。こんなんで気分が盛り上がるんだったら、頭蓋骨に埋め込んでもいいんじゃないかと思う。
ロボトミーで脳を切除する方法の逆といえば、逆。世の中進んでるなぁ。
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