なんとなく音楽、特にクラシックに知識が無くても「ピアノといえばスタインウェイだろJK!!」とか言われるのかもしんない。
が、しかし。この本を読んでみてそんなある意味過剰な思い込みはキレイさっぱり無くなった。
スタインウェイの創立者というか家族はいまから160年くらい前にドイツからNYに渡ってきた移民だったんだ、とかCBSに売られちゃった時は大変だった、とかまぁ、そのヘンをちゃんとなぞりながらひとつのグランドピアノ、この場合はK0862という番号で呼ばれるピアノだけど、そいつが組み立てられる過程を通してその作り手を紹介する、ある意味こんなにリアルに描いていいんだろうかというぐらいのドキュメンタリー。
日本人にとっては、ヤマハとかカワイとかの名称が出てくるんでリアリティがあり過ぎる。でも、ソコまで迫らないとこの物語は出来上がらなかったような気がする。
ピアノの原形が出来てから、アメリカに渡って成功して、それからラジオにやられてそのつぎはテレビにもやられて、日本のメーカーの低価格攻勢にも生き長らえて、さてスタインウェイはどこに行くんでしょう? みたいな話はありません。いわゆる斜陽産業を延命させたビジネス本というよりも、もっとリアルな男たちの生な物語って感じ。
とりあえず横文字名前が多いので、そういう手が苦手は人はツライかも。でも本自体は凄く良く出来てる。日本の全てのピアノ教師は読んで欲しい。コレぐらいの手間と時間でピアノが造られているんだって判って欲しいから。
ヤマハさんもカワイさんも工場ではコレぐらい語れると思うんだけどなぁ。やってくんないかな、工場見学。
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