わー、びっくりした。なんというジャストタイミングな新書。イスラムの癒しの部分の解説書。
いきなり自殺大国日本のハナシから、なんでイスラムの国は自殺が少ないのか?に繋がって、自爆テロって何で起こるの?それってイスラム的にはどうなん?という辺りを説明して、なんでそんなに旅人に親切なの?というトルコに住んでた時のエピソードを挟みつつ、「ひとりでいるのは悪いこと」という章で結婚とか離婚とか性交のあたりを解説してくれる。
ひいてはこれから無縁社会(笑)に向かっていく日本にはこういう社会のシステムが必要なんじゃないか?と云う風にも読める。そういう解りやすくイスラムの癒しの精神と行動を例を交えて教えてスゴ新書。
そして最終章、「世俗主義の国家という不幸」で西洋的な見地にあえて立ってなんでイスラムの発想が違うのか?を解説するというスゴイ難しいことをサラッとやってくれてる。
最後の方にあるように
ムスリムは、世界のどこにいても、世俗国家で生まれている様々な「現象」に疑問をもち、国家の法よりも神の法に従って生きていく道を選ぶようになりつつある。それを支えているのが、イスラムのもつ癒しの力と来世への希望であることに、西洋は気づいていない。イスラムの法を、自由意志を否定し、頑迷固陋に戒律の網から抜け出せないものと決めつけてきたことによる誤認がそこにはある。
というリアルにイスラム人口が増えているという実態を元に、認識を改めよう、そうでないときっと一生かかってもイスラムの世界のことは理解出来ないと諭されてる気がする。
あとがきの最後には、
私は、死を迎えるとき、愛する家族と共にムスリムの友人たちに囲まれていたいと思う。高度な医療も、無機質な病室も、いらない。
とある。日本人には「ムスリムの友人たち」というのが余分かもしれないが、この本を読むとその部分こそが、こういう終わり方を迎えられる鍵なのでは?と思えてしまう。イスラムってワケ分かんねー的な偏見(というか無知)を持ってる人は読んだほうがイイです。小難しい歴史的な部分は殆どありませんから。
あ、ちなみにこの著者の方はムスリムでは無いようです。同志社大学大学院の教授さん。
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