タイトルに釣られて読んでしまった。「文明は農業で動く」。しかも表紙で使われてる写真が素晴らしい。こういうのをジャケ買いっていうんだろう。
文明は農業で動く内容は、古来からの農法に注目してみたら、なんだ、今の旱魃とか害虫被害って問題は意外とうまく解けるんじゃね?っていう例を集めて今後の農業そして社会の行く末を考えてみたという本。
あとがきにも書いてあるけど、
「このまま経済成長や技術発展をしていってもどうせろくなことがなさそうだ。であれば、いっそのこと伝統農業に根ざした農的自給自足社会に戻ってしまったらどうか」
ということをいろんな事例を元に実証している。しかもその次の文で
本書の主張をかいつまんでいえば、こうなる。昔に戻ればいいことがあるのか。伝統農業でスムーズにすべての物事が解決するのか、と疑問に思われるかもしれないが、それは話が逆だ。伝統農業で解決できた事例だけを集めたのである。
つまりこの著者は確信犯なのである。そして情報はすべてインターネットで集めて取材はしていないと。マジ、確信犯。でもとてもよく出来てる。
素人的な感覚として、お米だけ作る農業、リンゴだけ作る農業、つまりモノカルチャーな農業を突き詰めていくと、より生産量の多い品種、早く育つ品種、害病に強い品種を開発して効率を高めて、害虫には農薬をバシバシ浴びせてネガを排除する、というのは分かりやすい。でも実際には有る特定の害虫を排除しようとすると食物連鎖のバランスが壊れて別の害虫が大発生する、という無限ループになる。
そうじゃなくてもっとマルチカルチャー、つまり土地を持続させるために一品種だけ集中的に育てるのではなくて色んな作物や花、雑草を入れ替えながら育てることで農薬を抑えた農法が古来から有ったはず。そしてそれがいま南米やいわゆる西欧諸国以外では注目されているという。世界農業遺産なんて初めて聞いた。
ということで現代農業の矛盾というヤツを素人的に理解するには最適な本かも。オススメ。
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