なぜかトランスフォーマーとかカーズとかCGで大向うを唸らせられる夏休み映画ばっかりだったディズニーさん配給の映画、「ツリー・オブ・ライフ」の試写会に行ってきた。
2時間以上の長〜い上映時間があっという間のスゴイ手に汗握るアンド全米が泣いた!的な映画では全く無くて、実に自問自答してしまう内省的な映画だった。ま、「Thin Red Line」もそんな感じだったけど。
テキサスの田舎に住むブラッド・ピットお父さんの家族を軸に時系列を行ったり来たりしながら、独白的なセリフが呟かれ、それにNational Geographic的なイメージの画像が差し込まれて、ひたすらシンプルなクラシック音楽に乗って流れる。そういう映画です。だいたい冒頭のセリフが聖書からの引用なんだから。そら、内省的です。
そこに「家族の愛」とか「誕生と死」とか「父への反抗」とかのテンプレを自分なりにはめて感情移入することも出来るけど、そんなことしてる間にどんどん画面が変わっていっちゃってもたない。そう、そういう具体的なセリフとかエピソードに勝手に乗っかるな!って監督が拒否してる感じ。
宣伝のひとが『「2001年宇宙の旅」の2011年版ですから』的なコメントをしてたけどまさにそういう感覚。でもあれよりもストーリーはドラマチックじゃない。
でも映画って何かを説明するためのものじゃない。個人的にはこういう素材を投げてくれて自分で自問自答するっていう映画は好きだな。気に入った。
あと、テクニカルなハナシではカメラワークが凄まじい。乗り物酔いする人は要注意。とにかく人を撮るシーンはカメラが止まらない止まらない。どんどん追いかけて、動きっぱなし。この動の部分と星雲とか波とか火山とかクラゲとか映像の静の部分の対比がとても良く出来てる。実際にはそういう人以外のシーンのカメラもけっこう動いてるんだけどw
それとブラッド・ピットとショーン・ペンはほとんど絡まないのでなにか演技的なものを期待するとガックリしそう。ショーン・ペンはひたすら歩いてるし。
どんなお客さんに観てもらいたいですか?って質問したけど「シネコンにくるメインの客層に観てもらいたい」ってそれ答じゃないからw宣伝部さん、大変そうだわ、これを宣伝するの。ま、賞をとったっていう一点押しだとするとヤバイと思う。だって会場でも賛否両論だったそうだから。
なんかちょっと人生に疲れちゃってて、じわ〜っと2時間、暗闇の中で自問自答したいという人が観るとヨロシイかと思います。カップルでは行かないほうが無難。「ねぇねぇ、アレってどういう意味?」的な質問をしそうな彼女と行くのはとても危険な気がします。
そう、映画(の或る種類のモノ)は何かを説明するためのものでは無いのだから。
追記:ブログパーツ追加。
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