ことの発端はコレだった。フリーライターの赤木智弘さんの呟きを使わせてもらったまとめ、この中に
俺は『若者を見殺しにする国』で、「主婦になりたい」という章を書いた。なかなか評価されることのない章だけど、個人的にはあそこが一番大切な章。だって、あの章は主婦労働と賃労働の均衡を計ろうとする章だから。(元のツイートはコレ)
ということでその大元の「若者を見殺しにする国」を読んでみようと思ったのだ。
で、図書館で予約して読みました(すみません、買わなくてw)。そうすると2007年に書かれて2011年の震災後に文庫化されたこの本が、今の時代のキレイに塗り固めた書割の様な上っ面の下のエグい現実をスパっと切り裂いてくれていることに気づいたのであった。
若者の凶悪犯罪の増大という嘘、如何に女性の自立(仕事+による強者化)がなされたか?「希望は戦争」という赤木さんの書いた文章に対する批判への回答、どうやって貧困層を救うのか?の具体的なアイデア、そういうものがかなり平易な文章で淡々と書かれている。
そんな中でいわゆる富裕層と貧困層という階級闘争の辺りが実にシックリきたので、ちょっと紹介する。
今の日本の階層構造は、富裕層の下に単純な貧困層が居るのではなくて、その間に「安定労働層」といういわばちゃんと正社員で仕事を持って安定的に収入を得られる層が存在するっていうことらしい。そして超少数の富裕層ではなく、安定労働層(いわゆる正社員)と貧困層(いわゆる非正規労働者、フリーター)の間の格差がどんどん拡がっている。その安定労働層は年齢が上がっても自分たちが持ってる利権を、仕事を、手放さない。全ての政党がそれを認めてそのために動いているってことに心底絶望している。それを打ち破るために「希望は戦争」って書いたわけだ、赤木さんは。そのリアルな言葉を目の当たりにして、「あぁ、そういうことか。なんとなく感じてはいたけどそういうことなんだな」と腑に落ちた。
こういうリアルな現実とそれに向き合って「貧困層に職業訓練よりも仕事を与えろ」「でもその前にお金をばらまきなさい」「それでゆっくり仕事を探せるようにさせてよ」「強くなった女の代わりに男が家事をして生きていってもいいじゃない?」「それが出来ない硬直化した平和なんてまっぴらだ。だから戦争でぶち壊そう」という主張はこの私が書いた薄っぺらい文を見るよりもはるかに説得力がある。「そんな馬鹿な!」って言う人は是非、この本を通して読んでもらいたい。
もうさ、憲法9条とかさ、脱原発とかさ、対馬が乗っ取られるとかさ、そういうのよりもはるかに深刻な問題が目の前にあるんだよね。現に若者が見殺しにされているっていう現実がさ。それに気付こう。そしてどうしたらイイのか、自分で考えようって思うよね。あと中高年男性もさ、自殺とかしてるよりもさ、こういうの、なんとかしようよ。(と、自分に言い聞かせつつ)
あと、あわせて読みたいのはこれかなぁ。
少子化をどうするのか?を政策まで踏み込んで解説した分かりやすい文献。この2冊を読むと若者と子どもを産む母親という、今日本で老人連中よりも誰よりも一番サポートを必要としている層のリアリティがわかると思う。こっちもオススメです。
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