「僕らの事情。」という邦題の小説。原題は、「See Ya! Simon」。
NZの15歳の男の子ネイサンと友達のサイモンの話。と言えば、それだけなんですが。
ポイントは、サイモンが筋ジストロフィーであるということ。で、邦題の「僕らの事情。」なんですが、英語でも「See Ya !」ぐらいは判るだろと。なんで「サイモン、また会おう。」ってシンプルに書けなかったんでしょうね。
全体のストーリーの流れは、きっと皆さんの予想の通りなんでしょうけど、何がイイってサイモンとネイサンのユーモアのセンス(ジョーク)が最高。
クッキーをねだって妹に飛び掛っていく犬に向かって、「オマエが食べるのは、それじゃない。それを持ってるヤツだ。」(ごめんなさい。ここウロ覚えです。)とか、舐めじゃくる犬に「シヌマデナメロ」って心の中で呟いたり。
あと噂話のネットワークを会社組織みたいに揶揄してみたり。
こういうちょっとブラックなセンスは、欧米人との会話でも普通に出てくるので、特別なコネタと言うのではないんでしょう。
文中で飼っている犬(ネイサンはこの犬が嫌い)について恐竜の名前で呼ぶ所なんかイイセンスしてます。昔、観た「世界中がアイ・ラブ・ユー」(ウッディ・アレンですな)の中で一家のお爺ちゃんが、いかにもドイツ系おばさんの家政婦のことを「あのジャーマンシェパードをなんとかしろ!」と怒る場面が有りましたけど、そういうネーミングのセンスってイイですよねぇ。
Amazonの書評にあるような、「素敵な...」っていうほど盛り上げようとしてないところがイイ。淡々と進むところが泣けます。ところで日本語版のハードカバーのデザインは秀逸だと思います。英語版はサイアク。
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