なんか「そんなアオッチーこと、しねぇよ!」、「こういうの書いてて恥ずかしくないのぉ!?」、「ソーダで避妊ってアリエナイ!」、「なんか方言の台詞がイタイ」などなど、主に女性からの悲鳴にも似た感想が寄せられている天童荒太の『包帯クラブ』。もちろん、感動したっていう感想のほうが断然多いんだろうけど。
でもこの気恥ずかしさも台詞のありえない感もちゃんと計算されている気がするなぁ。あくまでも今現在の高校生ではなくて「かつての高校生のちょっと恥ずかしい思い出」として。そんなところは本人もわかってるみたいです。
そんな気恥ずかしさも何もかも最後に出てくるこの文章で許される気がした。
このとき思ったことだけど・・・・。甘いなりに多くの傷を受けながら、それでも生きることを引き受けるなら、自分のためだけでなく、それがだれかのためでもあるのなら、自分たちが最もほしくて、でも、本当にあるのかずっと疑っていた、口にするのも恥ずかしい、例のアレが、そこには存在しているってことに、なるんじゃないだろうか。
こんだけ気恥ずかしいエピソード満載なのに、最後の最後まで例の英語で言うところのらぶってやつを封印してくれたのがうれしい。なんだか世界の中心でさけびやがる例のヤツのアンチテーゼなのかも。
タイトルの「巻けます、効きます。人によります。」は包帯クラブのキャッチコピー。最後の「人によります」が押し付けがましくなくて作者さん、イイ仕事してるって感じ。
映画化に各社が殺到したらしい。確かに若手の女優や男優を売り出すにはピッタリだし、戦うのではなくて「癒し」が欲しい、という昨今の「格差是正」的風潮にはあっているんだろうとも思う。
ということで映画のほうの話。ディノ役をやる柳楽優弥はなんだかキャスティングとしての王道(当たり前過ぎ)って感じ。有名できっと演技力でもはずさない。ワラ役の石川さとみもそう。ま、別にキライってわけでもないんですけど。ギモ役の田中圭って役者さんは高校生役なのにもう23歳ですよ。なんだかなぁ。
それに公式Webのストーリー紹介のページの最後にある、
密告の主は一体誰なのか?ディノの事件とは何だったのか?
包帯クラブ結成以来最大の危機を、少年少女たちは、いかに乗り越えていくのか―――
は、さぁ。なんかこうまでして盛り上げたいわけ?それこそ宣伝の王道なのかもしれないけど。こういうところがスゴク興醒め。
映画はきっと、観ない、と思う。でも、本は良かった。引用したところに救われた。
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