「犯罪といじめから子どもを守る幼児期の生活習慣」という読んでそのままという本を読んだ。幼児を持つ親向けのシリーズらしくこれが5年目(第5期)の2巻目。ホントに読んでそのままの犯罪やいじめから守るために親が持つべき心がけと具体的な手法を解説してくれる。
なるほどと思ったのは、いわゆる幼児が被害者になってしまう犯罪の場合、「不審者」という単語がたまに使われるんだけど、実際には外から見てわかり易い「不審者」なんて人はそうは居ないんだと。実際には加害者となるのはほとんどが普通の人で下手すると顔見知りの人なのだと。そして実際に犯罪が起こってから、「どうして?」という原因を探ってもほとんど意味が居ないし、センセーションに扱えば扱うほど、逆にアナウンス効果的に追従する予備軍が増えてしまう。犯人の生い立ちとかを根掘り葉掘りスキャンダラスに報道するマスコミもどうかと思う。
犯罪原因論を追求するのではなく、犯罪を予防するためにはどうすべきかという「犯罪機会論」に注目して「犯罪が起きないように環境を整える」ことのほうがよっぽど効果があるというのは、自分が何かすることによって実際に変化を作ることが出来るという意味でよっぽど積極的で精神衛生上とってもよろしい。
実際にじゃぁ、どうやったら予防出来るのか?この章の著者の立正大学の小宮信夫さんによると犯罪が起きやすい危険な場所というのは、「入りやすい場所」「見えにくい場所」であるらしい。ということは、子どもの行動範囲からこういう誰もが「入りやすくて、見えにくい場所」を排除すればいい。そしてその具体的な方法として「地域安全マップを作ろう」という提案をしている。これは、子供が自分で地域を歩いて自分たちの目で「入りやすくて、見えにくい場所」を確認していくという活動。そして最後にはグループで発表をしましょう、と。その活動を通してちゃんと地域の人とも話をして顔を覚えてもらったら一石二鳥。これってホントにいいことだなぁ。是非、地元の小学校にはやってもらいたい。
ここで大事なのは大人が先回りして「ここが危ない!」とかの知恵を付けさせずに自分の目で見て判断させる、という点。自分たちで見て自分たちで判断する。それを通じて自分の判断基準が出来てそれを他の友達とも共有する、それを通して「あ、そういうこともあるよね!」とか「お、そうかぁ〜」という発見がある。
大人の目標は「子供を自立した人間に育てる」ことなので、先回りは要注意です。
第4章に「いじめ、自殺から子どもをまもるには」ということで内田良子さんというカウンセラーの人が書いている文章に反応してみる。
昔に比べて大人が情報を持ち過ぎていることから子どもを選別する目がキビシくなっている。つまり、昔なら「ちょっと元気があるよね!」という程度の子どもも今だとADHDだのアスペルガー症候群だのを疑われて病院に行けと。子供は30年前から変わっていないのに子供を見つめる大人の目が変わったと。
そんな内田さんの文章から。
受験戦争やら学歴主義やら「イイ学校出てイイ会社」なんていうルートに乗っかって生き抜いてきた先輩諸氏がどれだけ柔軟に子供たちを、特に昔的に言うと落ちこぼれ的な子供たちを受け止められるかは甚だギモンではあるけど、学校以外の受け口というのは大賛成。いじめのターゲットになっている子どもは、教室という容器から外に出るしかないと思います。その場合の、もう一つの道は学校の集団の中で子どもがギブアップしても、地域の中で学び、育つという畑を耕すことが必要です。例えば、2007年あたりから団塊の世代が定年退職し、地域に帰ってきますから、この人たちの豊かな経験や社会的実践を子どもたちのために使ってくれればいいなぁと思います。
あと、きっと内田さんの直感だと思うけど以下の文章。
ここの部分をもう少し掘り下げて欲しいなぁ。直感だけに当ってると激しく思うけど。学校でいじめ・いじめられる関係にある子ども同士が、塾だとそれが無いという場合があります。学校という囲いの中だといじめがあり、塾のような囲いのない場所だとなくなる。だから、今の学校のあり方の何かがいじめの根源だと思います。
何が問題なのか、構造なのか、ルールなのか、それとも社会のあり方なのか、その辺りまで掘り下げないときっといじめや引きこもりで悩むワカモノを横に見ながら親予備軍のワカモノ達は子供作ろうとは思わないだろうし、出生率もそりゃ落ちるわな。
自分でももちっと考えてみよう、人に任せずに。そのほうが精神衛生上、非常にヨロシイので。
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