カバーがとってもステキな「シドニーの選択」という本を読んだ。アメリカはシアトルに居る再婚してしまった母親、ロスに一人で暮らしている父親のところを行き来する12歳の少年のお話。離婚した母親と父親のエゴに振り回されて、逃げに逃げて西海岸から東海岸まで、ロードムービーのよう。
でも最後の最後でやっと自分が何をしたくないか?ではなくて何をしたいか?について決断を下す、という物語。
すごくヒリヒリくるのは、「この子のためにはこうした方がいいんだわ」という母親の「思いやり」という偽装された感情やら「こいつは、オレより母親と一緒に居た方が幸せなはずだ」という父親の「理解」やらのいわゆる「オトナの事情」ってヤツの薄っぺらさが切なくなるくらいにリアルでグロテスク、しかもドライに表現されているところ。
この本を読んでて、段々気分が悪くなるのは、「なんで、誰一人としてシドニーのハナシを聞いてやらないんだよ!」ってところ。「おめーら、てめぇが言いたいことを都合のイイようにしゃべってるだけじゃねーか?」と。
「そんなんだから、シドニーはどこに行ってもウソばっかり付いて自分を守るしか無いんだよ!」って。
誰も話をちゃんと聞いてくれなかったら、子供は自分を守るために嘘をつくようになるんだと教えてくれる。
そうだよね、誰も気にかけてくれなかったら、自分で自分を守るしか無いんだよね。
そういう部分が、本当に上手く描写されている。
オトナはいつも自分たちの都合で自分たちに良いようにシドニーを扱う。でも、最後の最後で、シドニーがそんなオトナたちから逃げるのを止めて「ぼくはこうしたいんだ!」って言うところが凄くシンプルに盛り上げずに表現されている。それを助ける最後のオトナは誰か?はお楽しみってことで。
とっても切なくなって、でも最後の最後で救われて、あぁ、シドニー、良かったねって言いたい。やっと「No」じゃなくて「Yes」って言えたねって。
子供が繊細であればあるほど、というか繊細でない子供って居ないと思うんだけど、大人のウソやらゴマカシに見てないふりをして、自分を抑えながら生きていくんだよなと改めて思う。
いわゆる「子供ダマシ」というのは、子供をだますんじゃなくて「騙してもいいよね?相手は子供だからね!」って大人が自分自身に都合良く嘘をつくって言うことなんじゃないかと思う。
それにしてもつくづくアメリカの少年、少女は大変だと思うなぁ。もしもこれがリアリティだとしたら。
でも日本の事情も相当大変だよなぁ、と他人事のように呟いてみる。
[いいですね] こんばんは!
日本でも似た様な話を回りで聞いたような・・・
あーどこでも一緒か・・・
投稿情報: shin | 2007/07/11 00:39
これですね、主人公がとっても不細工という設定なんです。そこがすごいリアリティがある。是非、息子を持つ親御さんに読んでいただきたいと思います。
大人の勝手な都合ってヤツが良く判ります。
投稿情報: yasuyuki | 2007/07/13 20:55