シンガポールで暇な時に読もうなんて思っても暇がなかったんですけど。でも、一応、読み終えた。
またまた、良い本の水先案内人、金原瑞人さん翻訳の「クレイ」。
最初、なんか状況が良く判んなくて「なんでこんなに子供同士がケンカするんだろう?」って思ったのは、舞台がアメリカじゃなくてイギリスだったからなのね。隣町のプロテスタント野郎とかとガチで争う。そういうのって日本の感覚じゃぁ、わかんないよなぁ。教会のお手伝いしながら小銭稼ぐとか16歳でパブに入り浸るとか。
ハナシの中心は、主人公のディヴィと彼にからむ悪役ドコロのスティーブンの二人が粘土で作った人形に命を吹き込んで、そいつが町のガキ大将を殺しちゃう、というおハナシ。「絶対的な悪」というのが居る、そして絶対的な善も居る、ま、そいつは神様ってことになるんだけど、そういう大前提がまずあって、デイヴィが悩んだりするわけで、おわぁ!これってキリスト教的価値観だぁ!ついていけねー、と考えると面白くない、この話は。
そういう見方よりも自分の中に矛盾を抱えながら、どうやって折り合いをつけて行くのか、という一点に集中して味わうと良いのかな。「何だアイツ、死んじゃえ!」って言う思いと、本当に自分が相手を殺しちゃったらどうする?死んじゃったほうが良いんだよね?オレが手伝ってやろうか?という悪魔の囁きとの葛藤という部分がいい感じ。
今の日本には、こういう主体的積極的な味の濃い〜絶対的悪意というよりも、無視したり直接に関わらないことによって相手を否定する無味無臭な毒ガスのような悪意というのが溢れてる気がする。これを日本に置き換えたら、相当違うハナシになるんだろうな。
ドロドロとした現実はともかくとして・・・
小説なら正義のヒーローか聡明な人物が登場しそうですね。
投稿情報: @u-ra | 2007/08/05 10:24
日本は言霊がまだまだウロウロしてるので「氏ねばいいのに」とどっかでクチにしただけで(ディスプレイに表示されただけで)オッケーで粘土はいらん、というあたりから始まるんじゃないでしょか。そういえばデスノートなんてのもありますわね。
投稿情報: コーノ | 2007/08/05 16:23
@u-raさん、これがねぇ〜。ヒーローも聡明なオトナも出てこないんですよ。一番、賢そうなのが悪役ってことで。^^;
コーノさん、日本の「悪」って幼稚園児からジジイやババアまでもリニアにうす〜く繋がってる気がしますねぇ。つまり子供と大人が明確に分かれていない。
ちなみにこのハナシは舞台がイギリスの地方の町でないと説得力ナシってことです。日本じゃダメ。
投稿情報: yasuyuki | 2007/08/05 23:25