これ、随分前に「本」に追加しておいてその感想を書いていなかった。何でかと言うと内容が盛り沢山で自分の中でまとめ切れてなかったから、というのは言い訳。だから、こんな時間に意を決して書いてみる。
イギリスの教育評論家、スー・パーマーさんという人が書いた「如何にして子供たちを毒から守るか?」という本。つまり、先進国(この言い方も何とかならないかなぁ。毒の回り方が進んでるっていう意味ではその通りだと思うけど)で発生している問題児に関する様々な事例をベースにその原因と対処法を列挙する、というノンフィクション。
挙げられている「毒」は、こんな感じ。「ジャンクフード」「(危ないからという理由で減ってしまった)外遊びの少なさ」「減り続けている睡眠時間」「携帯電話やパソコンによるリアルじゃないコミュニケーション」「親の離婚」「『読む』ことをないがしろにする教育」「子供を狙ったキッズマーケティング」「テレビからの悪影響」「子供に媚びる親の態度」。
かなり広範囲に話題が取り上げられていてそこに筆者の執念を感じる。これだけの事例というかリファレンスを集めるのはタイヘンだったんじゃないかと思う。
そしてすごく洞察が深いなと思うのは、どれも「これの原因はこれ!だからこうすれば、直る!」なんて簡単に言わないこと。全てが複合的に原因と結果を織りなしていて、物事はそんなに単純じゃない。だからこそ今、気付いて何かしないとどんどんおかしくなる。だから、始めましょう、というわけだ。
イギリスの人なのに日本の事例をちゃんと調べていて色んなとこで日本のエピソードが出てくる。例の長崎の女の子が同級生を殺しちゃった事件とか。こうみるとイギリス人から見ても日本人というのは、やっぱりちょっと変わった人たちなんだろう。でも、「昔の日本(の教育とか子供たち)は良かった」的な引用だから、ちゃんと知ってるのね。
最後の方に出てくる「キッズ向けのマーケティング」と「テレビの悪影響」の凄まじさは、前に書いた「Born to Buy」の事例がちゃんと出て来て、「お〜!あれはやっぱり衝撃的だったんだ!」と思わされた。それぐらい徹底的に今の企業が目論む「子供をターゲットにした戦争」は凄まじい。しかも、「相手は子供。企業の大人が仕掛ける心理作戦、集団洗脳にかなうはずがない」という辺りの冷静な観察には恐れ入る。
ちゃんと各章毎に参考になるヒント、やるべきこと、が付いていて(ちょっと欧米か?過ぎるけど)子育てに使える具体的な指針がある。やっぱりこういうのは、具体的じゃないと。良い本でした。おススメします。
[いいですね] 記事拝見してるだけで買いかなって思いました。
うちはそろそろ手遅れの年齢になりかけてますが、
読んでみたいです。
投稿情報: herorin | 2007/12/09 21:24