「西の魔女が死んだ」はおばあちゃんと孫娘のなんというか「卒業」というべきか、成長というべきか、まぁ、そういう少女がひとつくぐり抜ける話だったけど、今回読んだこの本も孫娘と海沿いの別荘みたいなところにひとりで住んでるおばあちゃんのお話だ。
冒頭であんまり馴染んでいなかった転校生のオリーブが交通事故で死んでしまってから、その母親が日記の1ページを届けにくるところから話が始まる。この辺りの構成のウマさが「西の魔女が死んだ」にちょっと似てる。
主人公のマーサは母親とも馴染めず、父親とはその無理解のほどが徹底しててオカシイほど。そして1歳上のヴィンスとも、まだ小さい妹のルーシーとも判り合えてないという、普遍的な10代の少女なんだけど、おばあちゃんとだけは何か判り合えるものがある。おばあちゃんちで過ごす短い夏休みで体験することがマーサを成長させるって話。
最後がちょうハッピーエンドでもなんでもなくて、でもそれがすごく日常的な描写で気に入った。
12歳の体験する日々ってこんな感じだよなと思う。
誰も彼もが悪いわけでもなく、かといって善人ばかりでもない。みんなすこしづつすれ違ってたり、判り合えたりしながら、大人になったり、子供になったりするんだな。老人と子供が判り合えるのもなんとなく判る気がする。
「世界はあなたが思っているようなものではない」とおばあちゃんちの近所に住むジミーが呟く。
まさに子供にとってはその通りの意味なんだろう。そしてそれをちょっと乗り越えた気がした時にオリーブにちゃんと「バイバイ」って言えて、おばあちゃんのとこで体験したイヤな思い出にもさよならして、すれ違っているけど愛すべき家族に「ただいま」って言えたんだと思う。
イイ話です。おススメ。
[いいですね]
面白そうですね。今度読んでみます。ただ「西の魔女~」はちょっと梨木香歩にしては…て感じがしましたが。
投稿情報: teal | 2008/06/15 21:26
どうもです。西の魔女は個人的にはスゴク良かったです。まぁ、他を知らないってのもありますけど。
投稿情報: yasuyuki | 2008/06/15 21:41