この本について書こうと思うんだけど、なかなか文章が出てこない。それはきっと、この対談のお二人と同様に僕自身が、無意識のうちに持っていた親との関係の歪みをコトバにしてさらけ出すのが怖かったからだな、と今ならこうやって書ける。
このお二人はそれぞれ全く両極端なぐらいに親との関係が違う。方や左翼思想バシバシで会社や家庭に君臨する自分勝手な父親と夫からは卑下され娘を全く愛せない母親を持つ娘、そして表面上は息子を溺愛し愛情たっぷりな母親、でも実体は息子を自分のためだけの道具として利用しようとして自我を潰そうとする恐ろしい母親を持つ息子。
どちらも親から愛されたことがないという自覚が、ハッキリとしている。その認識を出発点にして対談は進む。二人の対談で明らかにされる凄まじいエピソードの数々。だいたい対談の最初の1行がこれだ。
原田:岸田さんは、親を殺したいと思ったことがありますか?
二人のエピソードは本文を読んでもらったほうが良いので、ここではメモしない。
でもそんな母親から愛された経験が無い原田さんが、自身が母親になって離婚を経験したあとで、「あまりにかわいそうだから、とにかく嘘でもいいから、(娘に)産まれてきたことを喜んでいると言ってあげようと思った」時のエピソードが、スタバで読んでてすごくグサッときたのでかなり長いけどメモってみる。
私は、母親に抱きしめられた経験がないので、自分でも娘を抱きしめたいと思ったことは一度もなかったし、その必要も感じていなかったんですが、とにかく、あなたがいてくれて嬉しいと言って抱きしめてやるかと思って、自然な感情の発露ではないから芝居がかっていてすごく嫌だったけど、我慢してやってみました。つまり、私の場合、初めは愛しているふりをして娘を騙すつもりだったんです(笑)。そしたら、娘の反応がだんだん変わってきて、ある日、突然、娘が私に抱きついてきたんですよ。びっくりしましたねぇ。
え、何これ?どうしたの?って感じ。(笑)。そんなこと、私は母にしたことがなかったから、ほんとにびっくりしたんです。へえ、子供って、こんなに衒いなく抱きつくものなのかと。こっちはおずおず、やっと抱きしめているという状態だったのに、娘はそんなこと知らないから、無邪気なもんです(笑)。それからですよね、だんだん子供とつきあえるようになったのは。結局、子供を愛するということは、子供に「自分は親に愛されている」と疑いなく感じさせることで、それ以外は何もないんですね。親が自分の心を探って、「自分は子供を本当に愛しているか」なんて、いくら考えても答えなんて出ない。子供が小さいうちは特に母親は負担が大きいから、子供なんて産むんじゃなかったと思うこともあるし、このままじゃ子供に自分の人生を載っとられると思うことだって当然ある。だからといって、自分は子供を愛せないなんて思って悩んでも、そんなことはそれこそ無駄です。
大事なことは、自分が「子供を愛している」と確信することではなく、子供に「自分は親に愛されている」と確信させることなんです。自分の心を探って悩むのではなく、子供の心を探って、「この子は親に愛されていると疑いなく感じているか」を問題にしたほうがいい。「愛されている」と確信すれば、子供は親を愛してくれます。そうすると親も「自分は子供に愛されている」と確信することができて、子供を愛せるようになる。愛してくれる相手を愛するのは簡単だから(笑)。
子育てで悩んでいる、特に子供を愛さないといけないと強迫意識を持っている母親は読んだほうがいい。眼からウロコ状態になる。それ以前に自分と親の関係を振り返るとどうしてもネガティブな方向にいってしまってそれを避けてしまいがちな人は覚悟して読まないと火傷するかも。
ワタクシただいま火傷ちゅう。
「大人」って自分の感情をポジティブ方向に創作できる人のことでもあるとおもーよ。愛情とかが自然発生(または持続)するなんてのは半ばウソ。
投稿情報: コーノ | 2008/06/19 03:22
あゆっぽの後者タイプの育てられ方
でもバツイチやったら失望されてちょっと生きやすくなったイエーイ
投稿情報: あゆ母 | 2008/06/19 08:58
うわ!あゆ母さんの告白シリーズ始まった?ちなみにうちは、おばあちゃんがヒドくてとにかくアタマが歪むから止めれって周りが言うぐらいボコボコに殴られたらしい>自分。でも全然覚えてないんだよなぁ。
でもあんまり親から嫌われたって意識はないんだけどな。なんで自分が嫌いなんですかね。
投稿情報: yasuyuki | 2008/06/19 17:30
この歳になると事実上は親の因果でも人としてそこに原因を求めちゃやっぱマズいから「社会のせい」ってことにしといたらどうやろ(笑)。
イヤでも明治開国から戦争に負けて云々あたりの日本人としての歪みってのはあると思うで、マジで。
投稿情報: コーノ | 2008/06/19 20:38
初めてコメントします。こんばんは。よろしくお願いしますね。
で、確かにどっきりする内容ですね。愛情を与えるって何かなって思いました。形から入るってこと、それに意味が付くの? そうだとしたら、意味を求めるのは、子供本人であり、私という親であり、誰のせいでもなくなりそうです。でも、誰かのせいで、何かのせいでと、あれこれつまらぬ言い訳を考える,全く持っての私は駄目親ですが。
投稿情報: harisenbon | 2008/06/19 23:53
どうもです。
引用したとこですけど、「愛って何?」とかで悩んでる母親に「まぁ、こういうアプローチもあるよね」ぐらいに思ってもらえばイイかと。
投稿情報: yasuyuki | 2008/06/20 06:33