もう一ヶ月ぐらいこの本を読んでた気がする。ノーム・チョムスキー先生の「テロの帝国 アメリカ」。原題は「Emperors and Pirates, Old and New」表紙の上の方にはご丁寧に「International Terrorism in the real world」なんて書いてある。ま、タイトルだけで想像するに難くない「アメリカという国がどんだけ実質的なテロリズムを使いまくってるか?」を小難しい文体で書いた本。
裏表紙のこんな一節がナイス。原題のネタですね。
アレキサンダー大王が海賊を捕らえて尋ねた
「なぜ海の安寧を乱すのか」
海賊は答えた
「あなたこそんぜ世界の安寧を乱すのか。私は小さな船一艘でやるだけだから盗賊と呼ばれるが、あなたは大規模な海軍を使ってやり、帝王と呼ばれる」
もう読みながらどんどん頭痛は増して来るわ、眠くなるわでこんなに読み終えるのが大変だった本はそんなにないってぐらいに面倒だった。今はほっとしてる。
内容は、もともとの本が1986年に書かれていて当時の国際社会に見え隠れする事件からアメリカのテロリストとしての本質に斬り込むって感じだったものに更に1989年と2001年に章を追加したもの。とにかく書かれている事件に対する原注がけっこうなボリューム(約70ページ!)でそこの原文を当たるだけで疲れ果てるぐらいに書かれてる。
要は、チョムスキー先生としてはこう云うことが言いたかったのではないかという文章をかなり前半で見つけたので、これで勘弁して。
米国は、他との比較でいうと、表現の自由が制限されないということにかけては、唯一ではないにしろまれに見る国家である。だが思想の自由を制限する手段が多岐にわたり,しかも効果を上げているということにかけてもまれに見る国家である。(p44)
そして2001年の追加の部分ではイスラエルとパレスチナの問題を取り上げて、イスラエルがアメリカの顧客国家であり(アメリカのやらない暗殺や爆撃、つまりはテロリストであるところの)汚れ役をイスラエルの占領地拡大と引き換えにやっていると言い切ってる。こんなこと言ったらそら当局に目をつけられるってもんです、はい。
この本の本質は、様々な事例とソースを元にアメリカの暴力的な本質をニューヨーク・タイムズを始めとするメディアが如何に誘導されコントロールされてきたか?を知ること、なのかな。
暴力にどんなに大義があっても、ミサイルが炸裂すれば兵士だけじゃなく子どもも病人も皆殺しだし、子どもを殺して許される大義は存在しない。と思うけど、一人の子どもの命よりも大事なものがあるっていう思い込みは宗教由来の戦いとかの過去の人類の殺戮の歴史が物語ってるよなぁ。あぁ、こんなタイミングに読むんじゃなかった。
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