Zubapitaさんに貰ったので読んでみたらすごく良かった。神戸の震災の時に精神科医として現場にいて、その一部始終を観察した中井久夫さんというお医者さんの著作。
最初の章は今回の東日本大震災の直後にテレビをみつつ書かれた追加部分であとのほうが阪神淡路大震災の時の内容。
文章がすごく簡潔で如何にもお医者さんがカルテに書きこむような冷静な観察眼と平易かつ冷静な文章で、最近のちょっと情に走ったような記事を読むことが多い人には新鮮、かも。
特に肉体的な被害を負わなかった人たちが時間が経つにつれて「精神的に」参ってくる。それを精神科以外の先生もちゃんと理解して、「これからしんどくなるのは先生のとこですね」っていう辺りで著者である中井先生がなんとなく喜んでる感じが行間から伝わってくる。あと意外にもこういう現場で医師の学閥が崩れてナイスなチームワークになってる!っていう辺りの内部の人にしかわからない状況が面白い。
一点だけ、東京都民としては悲しいのはコレ。
いっぽう、東京都では休暇をとってボランティアにきた精神科医は「都知事よりも先に行くとはけしからん」と叱責されたと都精神科医よりのファックスにあった。(109p)
どうしてこういうつまんないことにこだわるのか。アホかと。バカかと。で、その辺はいまでも変わってない感じがしちゃうのです。
被災した直後にやったことが、医局の整理と通信機能の回復、次が電話番、それから働く人(外からくる医師も含めて)へのルートマップの作成、というところが実に理論的かつ実際的。ま、先生が行けなかった現場は修羅場だったらしいけどw
全体的に散文風なので今直面してる危機にどう対応するか?というあたりがハウツー的にまとまってるわけではないけども、今、そしてこれからも十分に利用できる内容だと思う。
ということでオススメしますコレ。
参考URL:http://www.dotbook.jp/magazine-k/2011/04/21/two_quakes_and_ebook/
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