「Cloud Nine」ていう原題がスゴクいいのに、なんでか知らないけど「天にも昇る幸せ」という微妙な邦題が付けられているルアンヌ・ライス著の恋愛小説を読んだ。
内容は、脳腫瘍から復帰した一人の女性を中心に、夫と妻、母と息子、父と娘の関係をタペストリーのように織り込んでそれぞれの「愛する」っていうのを確認するっていうお話。とにかくストーリーの作り方が上手くて、がんサバイバーを主人公にしたいかにもありそうな落としどころなのにすごく新鮮に感じてしまうところがこの作者の巧い証拠なのかも。なにせニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに23作品が連続でベスト10に入ってるというぐらいの人気作家なのだ。日本で言えば、ちょっと前の林真理子か宮部みゆきか、と。
男女の恋愛だけではなく、親子の愛情を絡めてるところがスゴイ。実際に作者のお母さんが亡くなったあとの2年間は書くことが出来なかったという作者の心情がリアルに反映されてる気がする。主人公のサラと彼女が愛することになるウィルの娘、スーザンがまるで母親と作者という構図になってる。あとから気づいたけど。
ウィルがサラと息子、そして自分と娘のことを考える時に出てきた次の文が、親としてはグサッときた。
ウィルはサラの頭をなでながら、フレッドのことを考えた。どうすれば、子どもを手放せるのか?相手が生きていても死んでいても、それは親にとってこの世でいちばん難しいことだ。だがウィルは秘密を学び取っていた。じつは選択肢なんかないのだ。子どもは親のものではない。親のものだったことなどない。ほんの短いあいだ、預けられただけだ。だからベストを尽くして、せいいっぱい賢明にまもってやらなくてはいけない。子どもが名前を変えると言ったら、なんと呼ばれたいのかときいてやる。帆走したいなら、追い風を見つけるのを手伝ってやる。
子どもを持つ親は読んで号泣するとイイと思う。私はしました。
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