NHK取材班さん、渾身の集中取材を書籍にしたコレ、「基地はなぜ沖縄に集中しているのか」という本は「だいたい、沖縄にいる海兵隊ってなによ?なにやってんの?」とか「基地があるから潤ってるんじゃねぇの?イッパイお金貰ってんでしょ?」のようなウブなギモンを持っている人が読むべき最新の沖縄基地問題解説本だった。少なくとも上の2つの疑問は解ける。
いや、わかるんですよ、海兵隊というか米軍の、というかアメリカの国防の考え方も。沖縄が拠点として防衛的に大事だっていう地理的なことも。そして地域の発展を考えて辺野古の地元が受け入れることになった理由も経緯も。そして鳩山さんがそれら全てを見事にぶち壊したことも。
そして、そういう一部に負担を強いて「差別」して、切り離して自分たちの幸せを保とうとしたって構図が今の福島第一原発に限らず原発誘致の発想とおんなじだってことも。結局、日本人のやってることって変わんない。
この本は、すごく解りやすく過去の地元の状況や歴史、海兵隊の考え方、やってること、その意義なんかを解説してくれるんだけど、なんか割り切れないのは結局、「なぜ」という抽象的な問いじゃなくて「何をやったからこの結論にたどり着いたのか?」が明確にされてないからなんだなと思いついた。特に日本政府サイド、というか官庁が何をどれだけ議論して、計算して、入るお金も出るお金も見積もって、騒音被害とか犯罪とかも全部想定して、で、ぜ〜んぶ秤に乗っけました、さぁ、これが全てです、っていうことを明らかにしてくれないからなのかな、と。海兵隊のみなさんはとても協力的なのに、ね。
もちろん、そんなことは政治家に頼むつもりも無いけど、官僚とそれをチェックするNGOっつーかシンクタンク的な専門機関が対峙するような構図を作らないといつまでたっても日本は変わんないねって思った。やっぱり情報公開の原則を全ての省庁に義務付けるっていうの、必要かもね。そしてそういう開示された情報を冷静に評価する組織というかメディアというかそういうのが。
あと、自分、無知だなーって思ったのは、「防衛省の天皇」って言われてた守屋武昌防衛元事務次官が沖縄を手懐けるアメとムチの法律「再編特措法」を作ったってことを今更知ったこと。要はちゃんと国に協力するとお金を出すけど、協力しないところにはお金を出しませんよっていうあからさまな法律。そうか、そうやって官僚は法律とお金を武器にして社会を変えるんだなって。実にわかりやすい。今ごろかよ!ってことだけど。
NHK取材班の力のこもったいい本だと思います。一日で読めるのでオススメします。
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