医者が、研究者が、家族が語るのではなく、自閉症の当事者が語る「かつて自閉症だったぼくたちがあれからどうなったのか?」を自叙伝風に、でも軽く読みやすい物語風にまとめてくれたのがコレ。書いたのは自閉症だったカムラン・ナジールさん。今はイギリスの政府系組織に勤めながら、色々記事を書いたりしてるみたい。
http://www.prospectmagazine.co.uk/search/magazine?s=%22Kamran+Nazeer%22&search_fields=author_only
同じ学校で学びながらも両親を残して自死しちゃった女の子も居るし、今はゲイの彼氏と上手くいかない男の子もいる。ちゃんと職を持って専門知識を活かしている同級生もいるし、指導してくれた先生もいて、それぞれが今の生き方を見せてくれる。
色んな物語を「自閉症」の内側からみてる視点がユニーク。「会話っていうのは演技なんだ」とか「論理的なスピーチは書けても親近感の政治をアピールする感情に訴えるスピーチは書けない」とか色々自閉症の人たちの特徴を表していて興味深い。選挙の時に大活躍するアメリカのスピーチライターという仕事の一面が垣間見れて面白かった。第3章クレイグってところを読んで下さい。自閉症とか関係無くめっさ面白かった。
この本、編集の人が頑張ったなぁと思うのは、巻末に「解説」として「自閉症とはなにか?」とか課題についての情報が追加されてるところ。こういうのが無くてもこの本の良さは伝わると思うんだけど、ややもすると誤解されがちなキーワードを解くためのヒントがあるのはスゴクいい事だと思う。ちなみに解説を書いたのはフリージャーナリストの佐藤幹夫さん。こっちのリンクのほうがいいかな?
http://www5e.biglobe.ne.jp/~k-kiga/
軽く読めるのでオススメです。
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