もうすぐスゴ本オフ「戦争」編がやってくるわけですが。
いまの世界で一番「戦争」という実態に近いのはいわずもがなのイスラエルとパレスチナだと思うわけですが、今回のこの本はスペイン人作家が1988年と1995年に現地を訪れた記録とルポの翻訳を収めた本。
重い内容なのにカルく読めるので初めての人にもおススメだけど、歴史的な事件やら土地勘がないと辛いかも。でもこの人の云いたいことは最後のほうにあるこんな文章に集約されてるのかも。
(イスラエルによる)パレスチナ人の自決権と人間的な生活を送る権利を認めず、敵に救いを差し伸べるどころか、実力でもぎ取ったものはたとえ指一本の幅でも譲らないという姿勢は、最大限の寛容と先見があれば解決することのできる紛争を、悪化させるのみである。パレスチナ人の尊厳に対する理解と尊重の根本的欠如は、新たな対立の時代の幕を開け、一層激しく多くの血を流す「形を変えたインティファーダ」の永久的存続を意味するだろう。
この内容が15年経っても正しすぎるのが、この本の価値なのかもしれない。そして
イサクとイスマエルの子孫は、お互いに相手が完全に姿を消すか、存在しなくなることを夢見ている。しかし問題は「我々も彼らも、自分たちの夢よりもいくらか劣るものを受け入れる心構えができているか否かを認識することにある」
という文章に解決のヒントがあるんだろう。前に読んだ「ハマスの息子」っていうパレスチナ人なのにイスラエルのスパイになってしまった男の物語にも出てきた「お互いが譲り合う」っていう着地点は現場ではもう分かり切ったことなんだろうけど、難しいよね、最初にそれをやろうとすると。特にイスラエル側は。以下はその「ハマスの息子」からの引用。
真実と寛容こそ、中東問題の唯一の解決策である。イスラエル人とパレスチナ人の間における課題は、その解決策を”見つける”ことではない。それを、”受け入れる”ことができる最初の勇者になることである。
日本人も戦争っていうと硫黄島とか秋山真之の日本海会戦とかの兵士と兵士の戦いを思い出すんだろうけども、こういう同時代かつ非対称な「戦争」が今の時代の戦争なんだから、そっちを意識した方がリアリティがあっていいんじゃないかなぁと思いますが、誰にでもおススメ出来るわけではないところがちょっとツライ。
あと参考記事でこんなのを自分向けにメモっておこう。パレスチナの子どもたち。写真が衝撃的すぎる。
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