たまたま新潮文庫シバリのスゴ本オフのために放流用の本を探している時にふと手にとってなんとなく気になったのでお買い上げした道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」、久々にびっくらこいた。こんな恐ろしい物語を書き下ろせるってとてつもない才能だ。
読み始めてスグに「あれ?なんだろう?なんか変だな?」っていう感覚が浮かんでは消える、というのを繰り返しながら気が付けば怒涛のごとく物語の大団円になだれ込む、そして恐ろしさだけが感触として残る。これ、絶対に悪い夢みそう。
解説にも書かれているけど「淡々とした日常に何か大きな異物がごろんと転がり出てきた」というのが実に的確で驚く。まさにフツウのジュブナイルなファンタジーっぽいミステリーだったはずが突然、吐き気を催す異形のホラーに変わる瞬間が記憶と言うより感触として胸の中に残る、そういう作品。でも読まずにはいられない。これは名作だなぁ。日常から異物がチラッと出てくる、そして突然それが目の前に姿を表すっていうホラーの王道をこんなにも絶妙に創り上げられるのだから大したもんです。
あ〜、寝るのがコワイ。ホントに夢に出てきそうで。ということでゾッとする瞬間を味わいたいならオススメします。あんまり怖いのでコレだれかに放流しようそうしよう。
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