卒業のシーズンです。桜の花びらと「仰げば尊し」のメロディと体育館が揃っただけでもう涙が出てきちゃうって言ったのは遠い昔の中学の同級生お母さんだったような気もするけどそういう季節です。
ふと表紙に気をとられて読んでみた朝井リョウさんの「少女は卒業しない」。小野啓さんという方が撮られた写真がとてもイイ。
ある高校の卒業生たち、全員が女子なんだけど、その彼女らの別れと出発のことを書いた7つの物語。いやいや、ぜんぜん卒業してるし、タイトル間違ってるし(笑。
高校生の卒業は何かを失って壊して離れていかざるをえない。その交換としてのみ何かを手に入れることができる。そういう喪失の、生まれ変わりの、つまりは成長の時期なのかもしれない。
その喪失を学校が廃校になるという状況を下敷きに物語を紡いでいくと、こんなにも綺麗で悲しくて、青くて高い空に風船がどんどん上がって離れていっちゃうのを下から見上げるようなそういう感覚の物語が出来上がるのかな。
1889年生まれの作者ってことはまだ23歳!スゴイ。こういう冷たくて微炭酸の水のような言葉の感性はこの後どうなっちゃうのだろう。デビュー作の「桐島、部活やめるってよ」も読んでみようかな。
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