この本だけは文庫本で読んだほうがいい。
ちゃんと著者も編集の人もとても気を遣って作ってある気がする。まえがきとあとがき、それに解説まで追加して、
うかつにこの本を読んで「そうだ!こうすればいいのか!」とか「え~!これはひどい!」とか思わないように。これはあくまでも一人の患者の記録でしか無い。他のうつ病患者に応用できるものでも無い。
というのを繰り返し書いてある。それぐらい千差万別だし、著者が通った病院も合計4箇所、それにカウンセリングセンターも加えて最後は気功師まで出てくる。それぐらい色んな組み合わせがあって全く同じことは起こり得ないのだとわかる。
だいたい解説にも書いてあるけど、よく気がつく世話好きな別居婚な旦那が居て、都内にマンション、札幌にもマンション、秘書が居て、金銭的にも余裕がある、猫と猫を世話してくれる両親も健在で横浜に住んでる。そしてやたらと編集者やら友だちと外食するし、夜遊びもする。そういう立場で「うつ病でたいへん!」っていうよりも楽しそうって思えちゃう。激痛に悶え苦しむところも出てくるけど、前半は明らかに苦しみながらも楽しんでるように見える。
そして解説の精神科医からは「うつなら思考が低下して途方に暮れる状態なんだからこんな完成度の高い日記なんか書けない」って言い切られてて逆に痛快。そう、お医者さんによっても全然違うのね。(・ω・`)
ということで2003年から2006年までのうつ日記は全快!っていう本人の宣言で終わるんだけど、これを参考にしちゃあいけないんだよね、きっと。そして著者さんもそうしないことを望んでるんだと思う。
あとがきに、こうある。
自力ではできないことが生きていくと沢山あります。大人になって、なんでも自分一人でできる、解決できる、一人で生きているような気になっていたのが大きな間違いだったのかもしれません。人は人に頼るしかない時もあるのだとわかって本当によかったです。つまり自立とは、自分さえ良ければいいというわけでなく、弱った人を助けることができることだと知ったからです。
若くて健康なときは、自分が弱者になるという可能性について考えたことがありませんでした。誰もが明日急に弱者になってしまうかもしれないのです。そのとき「助けて下さい」とちゃんと身近な人に言ってください。そうしなければ相手の人もいざというとき「助けて」と言えないからです。
作家っていう仕事はかなりの部分自分一人でやらなきゃいけないんだろうから、そういう人がこういう心境になったっていうことにこの闘病記の重さを感じるわけです。
前半のとてつもなくバブリーかつダウナーな内容が耐えられる人はオススメします。まぁ、読み物としてはなんとも後味が悪いんですけどw
あと2006年8月の日記で坂東眞砂子さんの「子猫殺し」についても書かれていて、あぁ、やっぱりあの記事はこういう猫好きな著作業の人にも相当なインパクトだったんだなぁと改めて感じる。
とりあえず置いときますね。坂東眞砂子さんのWikipediaですけど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E6%9D%B1%E7%9C%9E%E7%A0%82%E5%AD%90
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