すっかり「ねじまき少女」で有名になったパオロ・バチガルピの短篇集、「第六ポンプ」、スゴイ面白かった。ナニが面白かったかというと「ねじまき少女」のあのクドさ、いわば麻婆豆腐だけを3人前ぐらい食わされてるようなクドさ、が短編集ということで中華料理のアラカルトみたいになってたから。
舞台がタイとかインドチックなとこだから、グリーンカレーとかバターチキンを3人前って感じかw
前に読んだ「サイバラバードデイズ」は思いっ切りインドの現状を下敷きにしたSFだったんだけど、こっちは中国やらインドネシアっぽい。とにかく「ねじまき少女」の舞台の前座的な話もあるしあのテーストが好きな人は読むべきっていうか読んでるよねきっと。正直言うと「ねじまき少女」はあんまり面白いとは思えなかったんだけど、コレ呼んで俄然再読したくなった。もう一回読んでみようっと。とりあえずアフィ的には「第六ポンプ」と「ねじまき少女」は並べておきますね。 (あれ?アフィのリンクが出てない。う~ん。まぁいいかぁ。)
いわゆるディストピアモノなんだけど、諦めたりしつつもなんとなく眼の前がほの明るい感じ。なんと言っていいのかわかんないけど、どうしようもないほどに良いことがないんだけど、まだなんとかなるっていう僅かな希望っていうのが全編を通じて出ていて、読んだあとの感覚が前向きなの。
いちばんSFっぽくない「やわらかく」だって妻を殺した夫が逃避行をする話なんだけど、どうみても未来がないけど、とてつもなく明るい。環境破壊をしまくっててもとりあえず10年後はみんな死んでるかもしれないけど、明日はなんとかなる。そういう世界観。
なんかここまで絶望しつつ前向きっていうのは新鮮だった。「ねじまき少女」がダメだった人に特にオススメしたい。
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