デニス・ルヘインの「運命の日」という1918年のアメリカが舞台の小説を読んだ。デニス・ルヘインって「ミスティック・リバー」が物凄く暗くて辛い物語だったので、ちょっと読み進めながらハラハラしてたんだけど、なんか思ってたよりも明るい結末でちょっとホッとした。
物語はベーブ・ルースとか実在する人物も織り交ぜながら主人公であるアイルランド移民の警官、ダニーとその恋人ノラ、もう一人の大事なキャラクター、ルーサーを軸にスペイン風邪、ボルシェビキによるテロ、ボストン市警のストライキ、そして暴動、ベーブ・ルースのヤンキース移籍、などなどもうリアルなイベントてんこ盛り。そういう意味ではノンフィクションな歴史データを元にストーリーを上手く当てはめたって感じ。そして話の展開が速くてエピソードもキャラもとっても濃いのでいわゆるジェットコースターノベル感が満載。上下巻があっという間だった。
筋書きをここで書いても意味無いのでやめるけど、主人公の一人、ルーサーがひたすらカッコいい。野球が抜群に上手くてカッコいい黒人っていうとどうしてもマイケル・ジョーダンを思い出しちゃうなぁ。いや、ジョーダンは野球はダメだったんだけどw しかし同じボストンが舞台のロバート・B・バーカーのスペンサーシリーズでもホークっていうこれまたマイケル・ジョーダンそっくりの黒人キャラが出てくるんだけど、どうしてもそれがかぶっちゃって。ボストンっていうのは痩せててカッコいい黒人が似合う街なのかも。(注:個人差があります)
黒人の差別と警官の待遇を向上させる運動にボルシェビキな運動家がからみ合って、バンバン人が死ぬんだけど不思議と暗いというかやりきれない感じはしない。ミスティック・リバーのときはひたすら辛くて救いの無さがたまらなかったんだけど、これは大丈夫。救いがある。
しかしなんでベーブ・ルースが?っていうのは途中でも色々話が交錯するんだけど、最初と最後でちゃんと結びつくので、デニス・ルヘインはホントに物語の作り方が上手いなぁと感心した。いまからほぼ100年前のボストンっていうのを想像しながら読むと雰囲気がでて大変よろしい。
サム・ライミ監督で映画化されるらしいんだけどトレイラー出てこないなぁ。製作止まってんのかな?
あと2012年に続編がでてるらしい。コレも読んでみたいなぁ。
参考のWikipediaはここ。http://en.wikipedia.org/wiki/The_Given_Day
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