すごい昔の記事が壊れちゃったぽいのでメモとして再投稿。元は2009年10月4日の記事。
TSUTAYAで一週間100円だったので久々に借りてみた邦題「リトルダンサー」、原題は「Billy Elliot」。
リトル・ダンサー BILLY ELLIOT [DVD]映画の作り方、というか構成と云ったほうがイイかもしれないけど、ストーリーが進んでいって最後の最後に種明かし、みたいないわゆるミステリーもののお約束をこういう映画に当てはめるのはどうかとは思う。でも、最後の最後のワンシーンを撮りたいがためにそれまでの時間が必要だったのだと思わせるくらいに最後のシーンに遭遇した時のカタルシスというかある意味、衝撃がずっと残る映画、がこれ。
ストーリーはごくごくシンプル。イギリスの炭坑街で炭坑夫の父親、兄貴、痴呆気味のおばあちゃんと一緒に暮らすビリーが父親に押し付けられているボクシングが厭でバレエを始める。だんだん好きになって上手くなっていく。その才能に気が付いたバレエのコーチからロイヤルアカデミーのオーディションを勧められて.....まぁ、そういう云ってみればシンデレラなお話。でも伏線になっている父親の炭坑ストライキの話とか死んじゃった母親のピアノを燃やしちゃうとこで父親が声を抑えて泣いちゃうとかゲイの同級生のマイケルとの交流とかそういうのが最後の最後で一気に「あぁ!!良かったねぇ、ビリー!」となるというホントに監督は最後のワンシーンに辿り着くためにここまで抑えた演出でがんばりました!!という、最後の快感が観終わった後にずっと残る映画。
改めて観てスゴいなぁと思ったのが、最後のほう、つまりロイヤルアカデミーでのオーディションに行くってあたりからラストシーンまでほとんどセリフが無いこと。炭坑夫の父親とロンドンにバスで移動する時の会話、
「ロンドンに行くの、初めてなの?」
「そうだ。」
「なんで?」
「ロンドンには炭坑が無い」
というのとオーディションの時に審査員の質問にビリーが答える、「踊ってると電気が走ってるみたいになるんです。そう、電気が」みたいなやりとりしかない。
こういうのをみるとキャストに喋らせるという手法だけじゃなくて映画というのはストーリーを伝える方法がいっぱいあるんだなと思う。そういう意味で、スゴく良く出来た映画。
とにかく最後のアダム・クーパーという希代のバレエダンサーを使ってその後のビリーの成功を一瞬で納得させるわけね。これ、映画館で観てたらしばらく席を立てなかったかも。それぐらいに衝撃的なラストシーン。
これと同じぐらいに「あ〜!ラストシーンを撮りたいがためにいままで我慢してきたんだなぁ」と思わせる映画を思い出した。ロバート・レッドフォード主演の「The Natural」。
これも最後の黄金色に輝く麦畑でキャッチボールというシーンで全てが納得させられるという、もうそれまでの展開はなんだったのか!と云いたいくらいに映像のパワーをまざまざと見せ付けられる。こういうのって映画の醍醐味としか言いようが無い。
あと音楽がUKロックでなかなかイイ。
最後でドッカーン!と快感を得たい人には堪らない映画。おススメ。
最近のコメント