角川の新しい選書シリーズ、角川EPUB選書創刊記念的なナニかで編集部にあった本を読んでみました。
アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書)
書いたのは元Forbesで記者をしていた人。結構読みやすい。
文字通り、「コンピュータで動くプログラムが人間に取って代わって仕事をする」っていうちょっと前に読んだ「Race Against the Machine」とカブってるけど、さすがに最新の翻訳本らしくエピソードがちょう新しい。
こういうのは旬のうちに読まないとダメですね。大昔からの歴史を紐解きつつ、如何にウォール・ストリートが数学の天才を雇ってプログラムによる売買を進化させてきたのか?それによる弊害とかまで調べて念入りにインタビューをまとめた本って感じ。
どういうわけかやたらとBotっていう用語でアルゴリズムというかプログラムのことを書いてるけど、どうしてんですかね?IT業界のオッサンにしてみると「プログラマーが書いた通りに動くんじゃなくてデータの変化に対応しながら自己調整するプログラム」っていうのと差別化したかったのかな。
ヒット曲を見つけるアルゴリズムでいきなり売れそうなアルバムをプログラムが見つけてきたらそれがノラ・ジョーンズのCDだったとか、ちょっと前にNBAで一大旋風を巻き起こしたジェレミー・リンを「使える選手だ」って発見したのがBotだったとかとにかく意外なところで意外なアルゴリズムが実際に人間の代わりに仕事をしているっていうのが目新しい。
ウォール・ストリートの事例はさすがに調査が徹底していてエピソードだけで十分楽しめる。
医療の分野でもっとアルゴリズムが使われれば、医療ミスも無くなるし、無駄な薬剤投与も無くなっていいことずくめ(薬剤師以外は)っていうのがリアリティあり過ぎてスゴイ。
なにげに出てくるのがアメリカの医療の問題で、「アレだけジャブジャブと使っているアメリカの医療費、実はその金額の10%にも満たない医療費のキューバとアメリカは平均寿命がさほぼ変わらない」っていうのを読むといったいなんのためにお金使ってんのかわかんなくなるよね。
とにかく、医療と裁判の現場ではこれからどんどんプログラムが使われていくことでしょう。あとコールセンターの業務も音声認識と性格判断のコンビで年間数千億も削減できるというのが分かってるらしい。
顧客相談室に電話してみたら相手はBotであなたの性格を判別した上で最適なオペレーターとマッチングすると通話時間やクレームが減るっていう事例が出てるんだから、そらぁ、やるよね。
もう営業マンもユーザーサポートもBotが代替する時代がすぐそこまで来てる気がする。音声認識と性格判断は日本でも導入が進みそうだなぁ。
ということでオススメです。300p超える本だけど読みやすいです。
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