ひょんなことから読み始めた「海にはワニがいる」というYA向けの本。気軽に読んでみたらとてつもない苦労話なのにとってもファンタジーっぽいのはなんでですかね。
アフガニスタンの少数民族の10歳の少年が生き延びるために国を出て、一緒に脱出した母親からも捨てられて、イランからトルコへの山越えの途中では何人も死んでいって、更にトルコからギリシャへはゴムボートで海を渡る。その途中でも仲間が海に消えちゃうのだ。
普通に考えたらとてつもなく危険でギラギラした話になるのに、淡々としてる。最終的にイタリアに到着した後もそんなことあるのか?ってぐらいのラッキーさで生き延びる。
ここでひたすらお涙頂戴にしないのは、この著者、ファビオ・ジェーダさんとお話をしている当人たるエナヤットナー・アクバリくんの感性が余りに過酷な状況に麻痺してんのが原因なのかも、と。どう考えたって血と汗と涙のサバイバルネタに出来るのにすごくさりげない。
10代の少年の眼から見た各国の状況や民族、宗教っていうのが一面的だろうとは思うけど、とってもリアリティがあるように思える。こういうタッチで物語を紡いでいくのもアリだなぁ。
いまだこういう状況があの辺りにはあるんだなということを認識出来ただけでも面白かった。物語としても面白いのでオススメです。
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