久しぶりに借りてみたアメリカ人作家の「泣ける」というお墨付きの小説。
時代は、9.11とかイラク戦争とかが出てくる段階で相当に現代だって判るけど、内容は純な「男と女の出会い」から「別れ」、そして「再会」という日本の編集者なら「うん、これはマニュアル通り」ってハナマルをつけそうなぐらいのシンプルかつ想定内の筋書き。
ちなみにオレは泣けなかったけど、これはイイ話だとおもうのは、幼い頃に母親が出奔してしまって父親と息子という組み合わせで生き抜いてきた主人公が運命の女性と出会うというメインの筋書きの中に、いままでどうしても馴染めなかった自分の父親との「再会」と「別れ」が伏線となって利いているところ。
いわゆるBoy meets Girlって言っちゃえばその通り。で、男と女がすれ違って別れが来る、というとこも王道。でも、しんみりイイなぁと思えるのは、メインの二人以外にジョンの父親と障害を持ったアランという重要な脇役がちゃんと「甘さ」と「苦み」の両方の味わいを出してるところかな。
文章のタッチで80年代くらいの感覚だったけど、それはこの著者の持ち味なのね。
「大泣き」は出来ないけど、ラストシーンでじわっと来た。通じて良かったねって。もう前に向って進めるねって感じ。大事なモチーフの「月」が日本語訳の表紙のデザインに出てるんだけど、英語版はまぁ、なんとものどかなデザイン。
季節で言えば、「秋〜冬の夕暮れ」が日本語訳のデザインで、「晩春から初夏の朝日」が英語版のデザインって感じ。でもその意図は良く判る。
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