「ウェブ汚染社会」という法政の先生が書いた新書を読んでみた。
携帯やらメールやらブログやら2chやらのネットのもろもろが若年層にワルい影響を与えているのを検証しつつ、その対策と今後の展望を示す、というまぁそうゆう本だ。この手は新鮮さがイノチなので即読んで即感想を書いてみることにする。新書のたぐいはちゃんといつ発行されていて、筆者が思う賞味期限はこれぐらいの時期までです、ぐらいの宣言が要るんじゃないかな。どっちかというと生鮮食品だと思ったほうがいいかも。
という前振りはさておき。結論から言えば、2chとかをちゃんと判って慣れている人(というか昔のBBSから知っている人)からすれば、ゴクゴク当たり前のことが書いてある。だから、2chの管理者、ひろゆきの言う、
「編集をしないことによってクオリティの低いものや、真偽不明の情報はもちろん出てくるが、それは見た人が判断したらいい。わからなければ、使わなければいい。インターネットがなくても日常生活に差し障りはないので」
は別に当たり前のことだし、だからどうということもない。ごく普通の感覚。もちろん、知らない人にとっては「えぇ〜〜〜っ!」ってことかもしれないけど。
そんな当たり前だな〜的記述の中で面白かったのが、いわゆるネットを使った犯罪の概要,章で言うと「第四章 ウェブ汚染から子どもを守るためには」の143p辺りで、匿名性をフルに活用して大人を騙す子供たちの話が出てくる。警視庁のデータによると出会い系サイトの勧誘をしたものの90%以上が女子中学生、女子高生だったんだそうな。つまり子供が大人を騙す構図。
なるほど、ステレオタイプ的に「子供は被害者」という思い込みを捨てて、ついでに犯罪の善悪みたいな社会的判断はちょっとおいておいて、この新しい道具を使うワザについてはやっぱアタマが柔らかいほうがいいんだなと直感する。
で、被害者にも大人は居るし当然子供も居る。加害者側も同じだ。筆者の先生が例えるように、ネットを泳いで行くのは自動車免許と同じと思ったほうがいいかもしれない。運転出来てもちゃんと責任が取れる歳にならないと免許を貰えないし、当然、外を運転することは出来ない。ふむ。ま、一理ありますな。
ただなんでこの本を読もうと思ったかと言うと表題の「ウェブ汚染社会」というタイトルがちょっと気に入んなかったから、それだけ。つまり大人が欲望全開で「ウマいことしてこいつらから金をふんだくってやろうぜ!」って思っているのはいつの時代でもあったわけだし、それの被害に遭う大人も子供も居た。単にそれが素早く簡単になっただけで、まるで毒ガスが蔓延しているかのように脅すのはどーかなーと。最後の章は、かなり明るく振る舞ってるけどちょっとムリがあるwww
昔は、社会通念というかおっかないオヤジとか近所のおっさんとかそういう枠がちゃんと機能していて、個人の感覚をどこまでも延長する(それこそ世界の裏側までとどきそうなぐらい)ネットのような道具がなかっただけでワルい大人は悪かったし、ひねたガキンチョだって居ただろう。つまりはそう言うことだ。道具が悪いんじゃなくて使い方が悪い。そしてその悪い使い方を直そうとマニュアル式にやってももうダメだ。大人も子供も自覚的に客観的に冷静になって個別に「これはこうしよう」とやるしかないと。ひろゆきの言う通り,別にネットが無くなったって死にはしない。
ちょっとブドウ糖がアタマに入ってなくてまとまんないけど(明日人間ドックなのでもう何も食べれないの ハァ)普通のことが普通に書いてある。ちょっと子供をこう扱え!みたいなとこはステレオタイプっぽい駆け足な気がしたけど。
もう1回だけ書いておこう、自分のために。「ウェブが社会を汚染している」のではなくて人間の欲望があからさまなっちゃっただけ。それがネットという媒体と道具によってとても簡単に現れるようになってきただけだ。子供はしっかり、欲の皮の突っ張った大人達を、ウソやゴマカシで丸め込もうとしている大人達を見通していると思うよ。
悪いものも山ほどあるけど、良いものも山ほどある。それが社会だし、人間だと思う。ネットなんてただの道具だ。
「都会は怖いとこだべ」→「インターネットは怖いとこだべ」でしかないんよね。リフォーム詐欺かてオレオレ詐欺かて別にネット使うてへんし。
ところでダイヤルQ2どこ行ったんかね。
投稿情報: コーノ | 2008/05/12 23:06