こういう新書のたぐいはさっさと読んでおかないと賞味期限があるからさ。
元駐フランス大使だった平林博さんというかたが書いた「フランスに学ぶ国家ブランド」というちょっと残念な感じのタイトルの本。編集の人、もう少しオサレなタイトルにしてあげれば良かったのにと思う。
でも内容は、サルコジとのエピソードから文化の話、国歌、外交、国連との関わり、原発によるエネルギー政策、移民の話、少子化対策、食料自給の話、公務員の改革まで。もう考えつく限りのフランスネタが満載。ここまで欲張んないでも、もう少し小出しにしたほうが良かったんじゃないかと思うぐらい。そういう意味では各トピックがちょっと消化不良って感じかなぁ。早足で駆け抜けたって言っても良いぐらい。でも、読み易くて判りやすい。具体的な話が多くてイメージし易い。
そこで見つけた小ネタ。
フランスで柔道が盛んというのはなんとなく知ってたけど、柔道人口が60万人もいるってのにはびっくり。日本だって20万人なんだそうな。そして親たちは「子供たちに礼やしつけを学ばせる最良のスポーツ」だと思ってるらしい。
ジュニアサッカーに入れ込んでる日本の親たちにきかせてやりたい。
原発に関して言うと日本とフランスが世界をリードしているらしい。六ヶ所村というと原発反対派にとっては、すげーダークな場所って感じだけど、そことフランスのカダラッシュというところでITERという次世代の熱核融合のプロジェクトが日仏で粛々と進んでいる、とな。
それと移民問題、少子化問題の部分では、上手くいっている部分(少子化対策)には積極的にマネをして、移民問題も反面教師として対策を練れ、だそうです。
そんな中で移民政策の辺りの文章をメモ。
欧州諸国の苦悩を身近に見てきた私としては、わが国も「選択的移民政策」に学ぶべきであると考える。
安い労働力の確保などのために移民を入れるべしとの、経済界の声がある。
(中略)
しかしこれらは、入ってくる外国人が、日本の法律を守り社会秩序を乱さず、また、できるだけよい市民、よい訪問者になる努力をすることが前提である。最近インド人が目立ってきたが、昔から商業などに従事するインド人も、IT企業などで働く最近のインド人も、ほとんど犯罪を犯さない。彼らが、教育程度や技術も高く、経済的にも自立するだけのものを持っているからである。
もう「インド人はOKだけど中国人は今のまんまじゃダメだろ!つか中国人いい加減にしろ!」っていうメッセージが透けて見える気がするのは文字通り気のせい?言いたいことはそれじゃないかなーと思う。
コーノさんもどっかの米に書いてたけど、フランスの公務員の多さは異常。だいたい日本の市町村にあたる区分、コミューンが36,800もあるんだそうな。日本は合併が進んでいまは、1,788。フランスって国土で言うと日本の1.5倍。人口は約半分。それで36,800の市町村ってスゴイ数だ。公務員も多いわけだ。
ちなみにフランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」を聴いて最初に「あれ?これってあの曲のイントロだよな」と思ったのはワタクシだけではあるまい。初めて買ったビートルズのアルバムは、「サージェントペパーズ」だったけど、「マジカルミステリーツアー」も好きだったなぁ。
[いいですね]
面白そうな本ですね。
「人口減少時代に日本の活力を維持するため、50年間で「総人口の10%」(約1000万人)の移民受け入れを目指す」
人口減少歯止め政策(?)に尋常ならざる力が入っている気がしますねえ。
その目的が「日本の活力維持」という字面通りのものなら、人口を増やすだけが施策じゃないと思うんですけど(フランスの様子を見るだけでも、むしろイタズラに人口を増やすことはマイナスの悪寒)。
目的はきっと違うところにあるんですね(´∀`*)ウフフ
投稿情報: Laka | 2008/06/12 09:51
あ、Lakaさんも気が付いちゃいましたか?この著者さんは民主党が言ってるような1000万人移民受け入れには、反対みたいですけどね。「経済界の声もある」みたいになんか苦々しく書いてるフンイキ。
そりゃ、あのフランスの状況を目の当たりに見てたら、そういう発想にはならんでしょう。
それよりは、日本の女性も男性も子供を持つことに抵抗を無くすことから始めないと。いまんとこ逆風ばっかりですから。フランスみたいに3人子供が居れば補助だけで生きていけるぐらいの思い切った施策でもイイかもしれないと思います。
投稿情報: yasuyuki | 2008/06/12 10:03