やっと村上龍の「半島を出よ」を読んだ。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)読もう読もうと思ってて何故か読めてなかったけど、「愛と幻想のファシズム」が一人のカリスマを中心にした戦争モノだったとしたら、こっちは博多を中心に突然やってきた北朝鮮の兵士と日本の戦い、というか日本は政府も自衛隊も誰も表に出てこない、なので殆ど戦闘シーンが無い。それを淡々と記述するって感じ。
占領戦っていうのは相手が油断してるとこういう風に進むんだろうなぁと。それにしても軍隊が突然やって来て不法占拠してるのになんにも出来ない日本政府というか日本人っていうのが妙にリアリティがありすぎ。もう65年も戦争やってないんだからまぁ、慣れてないってことなんだろうなぁ。
ちなみに博多の土地勘がある人が読むとたまらないらしい。これをくれた人は博多出身だったので力説してたw
しかし巻末にある参考文献の数がスゴイ。こういう社会面とか軍事とかを描写しようとしたらコレぐらいの資料が必要なんだろうなぁ。小説家ってのは大変な商売だなぁ。
それにしても最後の北朝鮮軍をやっつける仕掛けが壮絶かつ予想外でとてもヨロシイ。ちょっと安易な気がしないでもないけど。
最後の最後の静かな少年との出会いの章がとてもしんみりしていい感じ。
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