昨日の夜はスゴ本オフだったんだけど、そこで紹介した本をちゃんとメモっておこう。
今回のテーマは「ジュブナイル本」。本来、発想としては「若者に読んで欲しい本」と行くべきところだったんです。ところがたまたま見つけてしまったアーシュラ・K・ル=グイン先生の薄い本、「どこからも彼方にある国」が超絶「若者の気持ちってこういう風だよねぇ」とおじさんのココロを鷲掴みにしてくれたのでそれを書きます。
舞台はアメリカの田舎、そこで育つ17歳の少年が主人公。彼が第一人称で物語を語るのを文字に起こすという形式でハナシがすすみます。
言ってしまえば、「Boy meets Girl」の3単語でおしまい、もうちょっと書くと「集団に馴染めない男の子がたまたま近所の彼女と友だちになって、いっぱい話をして、お互いを見つめることで自分を発見して、でも見付けたのに失っちゃったり、悩んだり泣いたり笑ったり、甘酸っぱくてほろ苦い、でもエンディングがすごく素敵なお話」で要約できるんだけど、なんかとても爽やかな、かといって甘すぎない、絶妙な若者物語。こういうの1時間くらいの短編ドラマにして欲しい。
そういう揺れ動く内面をル=グインが「彼」の立場から書けるところが、ル=グインの凄さだなぁ。そして意外とユーモアのセンスがチラッと見えたりしてちょっと惚れ直した。
で、そんな微妙な味は是非読んで味わっていただきたいんだけど、この一文にマジ惚れた。
人生の意味なんて問いかけてもしかたがない。それがぼくたちの出した結論だった。人生はこたえではなく、問いなのだから。こたえは自分自身だ。|「どこからも彼方にある国」アーシュラ・K・ル=グイン著
ジュブナイルな物語ってある面がすごく残酷だったりするので、実際には手に取ってから読み始める、読み進んでから終わるまでが苦痛なことが多いんだけど、これは大丈夫。誰も死なない。安心安心。そういう残酷なの苦手な人に是非オススメしたいです。
1976年作なのに今読んでも全然古臭くない。素晴らしい。ちなみにセックスもドラッグもロックンロールも無いけど、弦楽四重奏が似合いそうな物語です。あと、冬の海岸。コレ重要。
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