とりあえず現在絶好調というかヨーロッパ最強のサッカークラブ、FCバルセロナ。その強さを過去のクラブの歴史を振り返りつつ、最近のゲームの場面を解説することで解読する、というサッカーシロウトにはとてもわかりやすい解説本。
コレ読むとバルサのパスサッカーの大元はオランダ発祥なのねってことが分かるけど、シロウトにはその辺はどうでも良くて、どちらかというと「ポジションとポゼッション」というバルササッカーの特徴を図を示しながら解説してくれるのが有り難い。
バルセロナのサッカーは非常に論理的で、数学的ともいえるかもしれない。
という文章が「はじめに」に出てくるけど、まさに後半のゲームのシーン解説なんかはそのものズバリ。こうやって各人の位置を構成しながら、ボールを支配するのね、というのがよくわかる。
如何に数的優位(英語だとOver Numberっていうらしい)を作るか、攻守の切り替えを速くするか、相手の守備を出し抜くかというのが手に取るようにわかる。ま、分かったとしても出来るかどうかというのは別問題でしょうけどもw
あと岡田監督とヨハン・クライフの対談ネタも入ってるんだけど、バルサのサッカーは「走りすぎない」、「走るのはボール。人はそれほど走る必要はない」とか書いてあってけっこう目からウロコ状態。岡田さん涙目。
これってシロウトの眼からするとサッカーというよりも鬼ゴッコっぽいよね。如何に相手より味方の数を多くして、相手を翻弄するかっていう意味で。あと、前に進むためにバックパスするという意味がやっと判った。
サッカー好きとしてはこの著者さんは熱いなぁと思わせるのが、最終章「日本とバルサ」というところに現れてる。ココではバルサのサッカーに魅せられて日本でそれを導入しようとした3人の話が書かれている。FCバルセロナスクール福岡校、そしてフリューゲルスとジェフの話。実際には後ろの2つは挫折してしまったわけだけども。
ここで「日本のサッカーには哲学がない」という一文を入れることで実はバルセロナのサッカーを解説してるようで(してるんだけどw)日本にも哲学を持ったサッカーチームが育って欲しいと願っているのではないのかな?と感じたわけです。そしてバルサのサッカーがヘンに技術偏重になるよりもずっと楽しいんだよ、と教えてくれてるんじゃないかな、と。
「テクニック重視、ドリブル重視のサッカーは、犠牲者が存在します」
「フットボールはテクニックでもなければ、体力でもない。戦術です」
「バルサのやり方のほうがテクニックレベルの低い子でもプレーに参加できる。テクニックレベルに関係なく、より多くの子どもに笑顔を提供できるプレースタイルのほうが、育成年代にはあっていると思います」
というFCバルセロナスクール福岡校の村松コーチの言葉が、なんとなく日本のジュニアサッカーコーチの胸に滲み込むとイイなぁと思いつつ、サッカーファンには是非オススメしたい本でした。
しかしこの間の8人制ジュニアサッカーの本もそうだけどサッカーの本って面白いなぁ。
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