いやぁ、スゴイ本を読みました。山本弘さん著の「アイの物語」。
冒頭からニューロマンサーに出てくるモリイみたいな戦闘型女アンドロイドが登場して「お!」っと思わせるけど、読んでみるとオムニバス風な短編を彼女が朗読するという形式。ちょっと不思議だけどそれにはちゃんと理由がある。それは後でわかるのね。
でそんな色々なバリエーションの物語の中でも書き下ろしの最後の2つ、「詩音が来た日」と「アイの物語」がスゴイ秀逸。ここで「人間とテクノロジー」「人間とAI」の行く末が、実に赤裸々にでも美しく描かれてる。
特に介護用アンドロイドとして開発された詩音が自律した思考の中でたどり着いた結論、「全ての人間は.....」と言い切る辺りから、最後のエピソードに至る「詩音の来た日」、そして自分のことを種明かしをする戦闘型アンドロイド、アイビスの自分語りである「アイの物語」は、もうSFというより哲学というか倫理学っぽい。いや、哲学も倫理も人間が産み出した「物語」でしか無いんだけども。
ということで「地球幼年期の終わり」も人間が成長していく物語だったんだけど、これも構図的には似てるなぁと。でもすごくモダンでしかも後味がイイ。なんだろう?「地球幼年期の終わり」がちょっと苦いビールみたいな味わいだったのに比べて混じりけのないミネラルウォーター飲んだ後みたいに。
めっちゃオススメしたい。特にワタクシみたいにDECでAIやってた人間には。
映画化して欲しい。http://hirorin.otaden.jp/e29392.html
投稿情報: yasuyuki | 2011/09/04 06:40