イスラエルとパレスチナ、いまでもドンパチとミサイルや爆弾がどちらかというと一方的に飛び交ってる2つの国(パレスチナは国じゃないのか、正確にはまだ)で2009年の1月初頭に起こったイスラエルの大規模な侵攻作戦で犠牲になったガザ郊外の街に住む子どもたちのお話。
ただ、それだけと言ってもイイ。それだけと書いたのはホントに子どもたちや親から聞いた内容がそのまま文字になってるだけだから。同時に映画にもなるそうでこっちの予告のほうが空気感が伝わってくる。
で、微妙と書いたのは「折角文字になってるのに喋ったことをそのまま文字にしてるだけ」だから。
たとえばこの予告編にあるように300名の子どもたちが犠牲になった場所は人口5万人のガザ地区では最も大きな街であることがサラっと書いてあるだけで、住んでる人の平均年齢とか世帯構成とか住民の仕事はなにか?とかそういうのが散文的に書いてあってまとまってない。
そしてイスラエルからの視点が全くと言っていいほど無いので、何日も侵攻を続けて結局どれだけの効果があったのか、そういう部分に関する国連の人権委員会からの詳細なレポートが出てるのにそれも名前ぐらいしか紹介してない。しょうがないからググっちゃったじゃんか。
読みたい人はココね。
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/specialsession/9/factfindingmission.htm
あとレポートそのものはコレ。
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/docs/12session/A-HRC-12-48.pdf
エグゼクティブサマリーもあるんだけど、何故か(というか国連じゃ当たり前かw)中国語版は有っても日本語版んが無い。orz
Executive summary (Advance 1):
English - French - Russian - Spanish - Arabic - Chinese (PDF)
Conclusions and recommendations (Advance 2):
English - French - Russian - Spanish - Arabic - Chinese (PDF)
こうだもん。
ということでこの本に戻ると、文章を読むとひたすら子どもたちと親の証言を再構成しているように読める。数日で約1,400人のパレスチナ人が殺された(イスラエル発表では1,166人)「戦争」なのにイスラエル側の犠牲者は、13人。これってどうみても戦争じゃなくて一方的な殺戮だよなぁ。
ついでにブルドーザーでガザで消費される卵の10%を供給する養鶏施設を破壊して31,000羽のニワトリも殺した、と。もうこれ武力同士の「戦争」ではなくて「破壊」、それも「大量破壊=Mass Destruction」だよな。イスラエル軍が言う「パレスチナのロケット弾1発に付き100戸の家を破壊する」って宣言してる辺りがその辺のリアルをあからさまにしててスゴイ。(PDFの24p、パラグラフ64を参照)
という事実関係をもう少し感情に流されないで冷静に書いて上で子どもたちの傷ついた心の描写に移れば良かったのにって残念になった。もう感情だけじゃ動かないと思うな、日本人は。あまりに「テロに対抗するにはこれしかなかったので破壊しますた(・ω・)」的な報道に毒されてて。だってパレスチナ側の報道ってアル・ジャジーラぐらいしか無いし。
ということでオススメなんですけど、ちょっと内容は心情的すぎる。なので上の英語のレポートと併読するとイイかもしんない。とてつもなく英語のレポートは読みづらいけど。
この本の実に主観的な見方って前に読んだ「ハマスの息子」って本と共通するなぁ。ということでリンクをメモる。http://yasuyukima.typepad.jp/blog/2011/09/son_of_hamas.html
投稿情報: yasuyuki | 2011/10/22 00:21