大阪のことはよく分からないし橋下さんの政策もよく知らないけど、Twitterで流れてきたこの内田樹さんの講演にちょっと「?」なので感想文を書いてみる。
橋下さんの政策に対する否定と思えばいいんだろうけど、大元の政策自体を知らないのでこれから書くことは自分でもちょっと脊髄反射っぽいなぁと思う。でもちょっと書いてみる。
ココで書かれていることは要はこういうことだ。
政治とビジネスは教育に口を出すな。教育システムは医療や司法と同じでビジネスの発想や感覚はなじまない。教育はそんなに急には変われない。なぜなら相手が人間だから。学校教育に競争と市場原理を取り入れるな。生徒を消費者にするな。生徒は賢い消費者として自分の投資を最小にして(つまりなるべくサボって)最大の効果を得ようとする(つまりイイ点をとろうとする)し、そのためには競争相手を妨害する。それが今起きていることだ。学校をビジネスのための予備校にするな。たとえ現実の社会が弱肉強食の世界であったとしても。
元の文が長いので要約してみた。ここからは引用。
「学校教育は次世代の公民を育てるためのものです。われわれの社会が存続するためには、まっとうな公民が不可欠である。
一生懸命子供が勉強してくれて、市民的に成熟してくれると、それで得をするのは社会全体なんです。社会全体がそれで救われる。僕らが助かり、子孫が助かり、共同体が助かる。だから、子供たちに向かっては「学校に通って、きちんと勉強して、市民的成熟を遂げてください」と強く、強く要請しなければならない。
子供たちを競争に追いやったり、格付けしたり、「グローバル人材」に育て上げたりすることが今われわれがなすべきことではありません。世界はほんとうに激動しているんです。新しい指導的なアイディアを世界中の人が求めている。
国際社会から十分な敬意を寄せられたいと、本気で思うなら、二一世紀の国際社会を導くような骨太の、雄渾な、品格のある、「世界はかくあるべきだ」というヴィジョンを提示するしかない。」
で、わからないのは、ここで内田さんが想定している「成熟した市民が生きていく社会」とはどういう社会なんだろう?そしてソコで求められる成熟した市民・公民とはどんな人なんだろう?
どうも学校以降のビジネスの世界では会社が潰れようと何しようとそれはビジネスなんだから仕方ない、世界的な激動の中で指導的なアイデアや品格のあるビジョンを提示できること、が求められているっていうのはお題目としてはわかるけど、それをリーダーたる政治家ではなくてフツウの市民というか住民に求めたとして、具体的にどういう人を想定してるんだろう?
冒頭の辺りで首長が変わるたびに教育システムを変えたらいけない、最低でも20年ぐらいのスパンで見て評価しないといけないと言ってるけど、逆に今から20年前の教育方針でも政策でもシステムでもなんでもイイけど、それをちゃんと具体的にテーブルの上に乗せて評価すればイイのに。
ていうかある程度、それをした上で、今現時点で結果として起こっていることがダメだから何かを今、変えようっていってるんじゃないのかな?実際に内田さんも「今の教育も大人もダメだ」って思いっ切りダメ出ししてるわけだし。であるならなおさら「今」変えないといけないという結論にならないのが不思議。
つまり「20年前」からの教育システムの結果としての「今の大人」がダメなのに、「今」変えちゃいけない、と。だったらいつ変えるの?徐々に変える?どうやって?
あと選挙で選ばれる首長が教育制度に口を挟まないほうがいい!というのが結果的に「ヴィジョンが無い」という評価になるんじゃないかなと思いつつ、だとしたらリーダーのやることは人選と組織を作ること、だよね。リーダーは大きな方針を出して、人に任せる、そういう手腕を振るうべきだと思う。それってビジネスでも一緒。
ガッコウ以降のビジネスは今のままでイイ、でもそれと品格のある公民は別だっていうのはいわゆる社会のヴァーチャライゼーションとでもいう仮想化のお話だよね。いったいどこにそんな二重生活が存在しているのか、小一時間問い詰めたい。市民が成熟するとみんなが助かるっていうのも抽象論だなぁ。具体的に語れないのかな?
それとは別に面白いのが生徒を格付けしちゃいけない、と言ってるのに途中で出てくる東大卒のハナシ。東大卒の青年に「なんでそんなにものを知らないんだ」と質問して「だって僕全然勉強しませんでしたから」と明るく笑って答えられて驚いたって辺り。つまり「子どもを格付けしちゃいけない」と言ってる人が「東大卒ならこれくらい知っているべきだ」という格付けをしてる。そして「勉強していない」という答をそのまま「本来、学校の勉強で習得すべき知識を得ていない」からダメなんだ、と。お前は東大卒の格じゃない、と。
こういう硬直した評価基準そのものが社会で通用しているうちはガッコウのビジネス予備校化は止まんないし、一旦ソコから弾かれたら二度と這い上がれないという今のシステムを壊すことは出来ない。
橋下さんの政策はどっかで読むとしてとりあえず今のガッコウを大阪という地域でリセットしてやり直すという実験をやるのであれば、賛成したい。途中に出てくるジョブズのとこでも中退したこととか訳もわからず学んだことが後に効いてくるっていうエピソードを持ってくる辺りは、とにかくなにかを自主的に学ぶことが大事って言ってるのに。それを学生だけじゃなくて大人にも拡大して考えられたら楽しいのになと思う。
個人的には、飛び級や留年もアリにして教育をバウチャー制度みたいにして学童や青少年だけじゃなくて大人も含めた何度でもチャレンジ出来るような教育制度に改革したら、大阪の土地柄にも合うんじゃないかなぁ。
あぁ、大阪ってけっこう見栄っ張りだったっけ?wwwそれじゃ、キツイかもねぇ。ガッコウ中退してもう一度ガッコウに入りました、なんて認められないかなw
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