「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」というタイトルに惹かれて読んでみたけど、とっても解りやすくてびっくりしたので記事にしてみる。本はコレ。「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」、書いたのは音楽評論家の中山康樹さん。
マイルス・デイヴィスの作品と行動を軸に「ジャズがどうやってビバップを経てヒップホップに到達したのか?」というあまり接点がなさそうな音楽を黒人音楽の持つ特徴(黒人性、批評性、メッセージ性)に注目して解き明かすのが目的なんだけど、正解かどうかは各自判断するほうがイイかも。ヒップホップに至る源流としてのR&Bとかはきれいに無視されてるのが、アレだけど。
一応、最後のほうにも書かれている『ブラックミュージックとして派生したジャズが「黒さを失った」という客観的事実を見据え、その「黒さ」がどこに移ったのかという、素朴といえばあまりに素朴な疑問を解明しようとする作業』がこの本だとすると行き着く先がヒップホップだっていうのはあまりに正しい着地点。
中に出てくるCD、特にパブリック・エネミーの2枚目、「It Takes A Nation of Millions to Hold Us Back」については、
黒人性、批評性、メッセージ性が一体となり、きわめて高度な音楽的レヴェルで昇華された歴史的傑作に挙げられる。仮にジャズがヒップホップへと変質した瞬間があるとするなら、おそらくはこのアルバムのなかのどこかの時点であろう。
とべた褒め。なるほどぉ。ここでも言及されてるFight the Powerの動画も置いておこう。
本の後半でウィントン・マルサリスがやってる正統派ジャズに関しても、ジャズがブラックミュージックとして同義だった時代は終わった、ジャズは若い世代の黒人が好んで聴く音楽ではなくなった、と。うん、確かにウィントンがやってるのって「伝統芸能としてのジャズ」っぽいもんなぁ。ウィントンがヒップホップ嫌いっていうのもある意味、理解出来る。
そしてかつてのジャズの先にあったはずの音楽、ウィントン・マルサリス登場前夜のジャズと直結してると思われるとここで参照されているマッドリブというアーティストの動画も参考として置いておこう。
もうジャズだヒップホップだと分けること自体が無意味に見えてくるけど、こうやって音楽に含まれる成分をちゃんと分析するといろんなものがつながってたり、分断されてたりすることがわかる、というナイスな本。マイルス・デイヴィスをあんまり知らなくてもなかなか楽しめる。
できれば1時間くらいの動画になってればもっと分かりやすいのになぁ。
参考にこれも置いておこう。
うわー、Sun CityのCD、めっさ高いww
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