未だに前回のスゴ本オフの新潮文庫の在庫が捌けません。なんかなー、まだ川端康成の「雪国」とかもあるんだよなー(・∀・;)......
ということでこの週末は宮部みゆきさんの「あかんべえ」(上下で700p弱)ってヤツを読みました。いやぁ、時代小説ってイイですねぇ。
新潮文庫の編集さんの血と汗と努力の結晶、帯にはこうある。
「人情+ミステリ+ファンタジー。宮部ワールドの魅力満載、感動の時代長篇!」
いやいや、ダメだろこの宣伝文句はw ていうか時代小説なのにミステリとファンタジーって!.......って書いてから「あ!これはやられた!」と思った。つまり「あれ?ちょっとこれヘン!」っていう驚きを与えたかったんだな、編集さんはきっと。
そして宮部みゆきさんの魅力をこんな狭い帯で表現できるはずもないからこそ、
「え〜と、つまりはですね、あの〜その〜、宮部ワールドなんです!感動するんです!」っていうことで開き直っちゃったのね。
で、実際に読んでみると実はミステリはミステリなんだけどファンタジーもファンタジーなんだけど、もっとなんかこう味わいのある滋味のある愛おしい味がするんですよ。そんなカタカナで終わらせちゃいけないような。
いろんな人が色んな事情を持って生きていて(この本の場合は死んでいて、も入るけどw)そういう個々の事情っていう糸が複雑に絡みあってるのを、おりんちゃんが色んな人の力を借りながらひらりひらりと解きほぐしていく。いや、力ずくでっていうのではなくてもっと自然体な合気道的な感じで。
そんなに絡みあった糸たちが最後の最後で本当に鮮やかに取り分けられていくというか整理されていく、そういう快感がありますね。で、通り一遍の時代小説にありがちな善人は善人、悪人は悪人っていう分かりやすさではないところがその滋味を感じてしまうとこなんだろうなぁ。超絶悪人ですら、最後に人間らしいところを見出してあげる、その愛情。
そういうのを味わう実にしんみりとした印象の残るイイ本です。これ実写の映画とかにしたらイイ感じになると思うんだけどなぁ。
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