杉浦日向子さんの江戸時代の暮らしに関する本を読んでから、アメリカの不況の時のレッスンを取りまとめたこれを読むとなかなか趣がありますね。
本のタイトルは「グレート・リセット 新しい経済と社会は大不況から生まれる」というヤツ。書いた人はイタリア移民の3世で今はトロント大の教授さん。
これまで2度の大不況(ここでいうグレート・リセット)と直近の金融危機、リーマンショックを総括して「あくまでもアメリカとしての都市及び経済再生のためのアイデア」を披露するという本です。最終的な結論は、不況をきっかけに新たに生まれる産業(たとえばITとかサービスとか)を育てよう、住宅建築に頼る都市計画はダメ、都市を活性化するには移住が必要、賃貸住宅を増やそう、都市間に高速鉄道を敷設しよう、みたいなことですね。
いかにもサブプライムローン問題以降の視点とも言えます。でもグローバルにけっこう衝撃的なのは、こんな一節。
現代の経済にとって重要な原則は、可動性と柔軟性だ。持ち家には、この二つの要素がともに欠けている。経済学者のアンドルー・オズワルドの研究は示唆に富んでいて、持ち家の比率が高い都市では失業率も高いという。彼の調査対象はヨーロッパの諸都市で、持ち家が10パーセント増えると失業率は2パーセント上昇するという。結論として言えることは、労働組合を持っているかとか、どれほど福利厚生施設を持っているかなどの要素よりも、持ち家比率のほうが失業率を予測するうえではあてになるという。
大学に大人になっても入れるという部分は、日本でももっと普及?というか改革して欲しいなぁ。そうやって学校の周りの街が潤うのはアリだと思う。
あと、車を自慢するのとかでっかいSUV買うのとかはカッコ悪いという気分はアメリカ特有なのかもしれないけど、かなり皮膚感覚としては合ってるなと思う東京都民です。
ちょっとお硬いけどオススメ。
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